Aクラスで迎える夏場の戦い
DeNAの球団史上初となるクライマックスシリーズ(CS)進出が現実味を帯びてきた。
7月26日、27日と敵地で中日を相手に連勝。勝率5割復帰を果たし、4位のヤクルトとの差も5.5まで広がった。
今シーズンも残すところ48試合...。CSがセ・リーグでも行われるようになった2007年以降、この時点の順位は4位、6位、6位、6位、6位、6位、5位、5位、5位といずれもBクラス。シーズンも佳境に突入していこう時期に、目標を失っていることも少なくなかった。
それが今シーズンは2位と1ゲーム差の3位。今季から就任したアレックス・ラミレス新監督はチームを見事にまとめあげ、球団史上初の快挙へと導こうとしている。
重要なのは「下位との対戦」
就任1年目のラミレス監督は勝負の後半戦へ向けて、明確な方針を示した。
「上位のチームを見るよりも、下位のチームとの差を広げることの方が大事になる。多くの監督は上のチームを気にするが、自分は下のチームとどう戦うかが重要だと思っている」。
ペナントレースとは、143試合の長丁場で順位を争うもの。その中の上位3チームが、CSへの出場権を得る。ラミレス監督が打ち出す策は、この特性を十分に理解した“現実的な戦術”だと言える。
「残り20試合」のための「ここからの20~30試合」が重要
さらに同監督はつづける。
「残り50試合というのは多く感じるが、CSに進出するためには“ここからの20~30試合”こそが最も大事。そこが終われば、最後の順位のアイディアも持てる」。
「最後の20試合が重要だと多くの監督が言うが、首位とのゲーム差が10ゲーム以上あることを考えれば、残り20試合では追いつけない。“残り20試合の時点でどういう状態にチームを持って行くか”が最も重要だ」。
現役時代は明るく元気な“パフォーマー”的な印象も強かった男であるが、監督としては常に冷静沈着。しっかりとその場の状況を読み、最善を尽くす。もしかすると、新人監督にして12球団No.1の策士かもしれない。
「ここからは勝てるだけ勝ちたい」
26日の中日戦では、5点リードの8回にセットアッパーの三上朋也、4点リードの9回にはストッパーの山崎康晃をマウンドに送った。
27日のゲームでも、先発して3安打無失点に抑えていたぺトリックを6回途中で降板させると、前日同様三上、山崎康とつないで勝利。点差に関係なく勝ちにこだわる姿勢を見せ、見事に2連勝を収めた。
「ここからは勝てるだけ勝ちたい。リードしている試合で相手にチャンスを与えてはいけないんだ」――。
“残り20試合で勝負するための、ここからの30試合”にかけるラミレス監督の、勝利への執念が垣間見えた采配だった。
一戦、一戦、とにかく目の前の戦いに集中する。多くの監督が語る決まり文句の続きが、ラミレス監督にはある。