二人ともヤクルトの日本一を予想

　19日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』では「日本シリーズ前日SP」と題して、プロ野球界OBの解説者たちが翌20日から始まるオリックス－ヤクルトの日本シリーズを展望した。

　過去10年の日本シリーズを振り返ると、巨人が日本一に輝いた2012年を除いて9勝1敗とパ・リーグの圧倒的優勢が続いているが、番組に出演した真中満さんは4勝2敗、谷繁元信さんは4勝3敗でヤクルトが日本一になると予想。

　9年ぶりのセ・リーグ勢優勝を推した2名の解説者は、それぞれ2つのキーワードを挙げて、日本シリーズの戦いを展望した。

「延長12回」は燕に有利

　オリックスの絶対的エース・山本由伸に対し、ヤクルト打線がどのように立ち向かっていくのか。ここに注目した真中さんが挙げたのが『組織力で攻略』というキーワードだった。

　ヤクルト側にとっては、CSファイナルステージの初戦で完封した奥川恭伸と無双状態の山本が投げ合うことを“回避させる”という考えも浮かぶが、真中さんは「ここは1戦目を奥川でいって、7回くらいまで0－0でもいい。なんとか粘りながら山本を7回とかで下ろす、8回以降に勝負するような展開。打者は山本に1球でも多く投げさせるとか、その辺の組織で戦うイメージが沸いてきました」と、シリーズ先勝のシナリオを描いた。

　また、2つ目のキーワードには『延長12回』を挙げ、「終盤は競った試合になると思うんですが、ヤクルトは中継ぎ陣が豊富だと思う。短期決戦なので調子のいい投手と悪い投手が出てくると思うんですけど、ヤクルトは（計算できるリリーフ投手の）枚数が多いですから、（調子を）早めに見極めて起用していくと、延長12回はヤクルトに少し有利に働くと思う」と、長期戦になればなるほど古巣が優位になるとの見方を示した。

　「粘って粘って終盤に勝ちを拾っていく、そんなイメージ。ロングリリーフでいける投手もいるので、終盤に競るとヤクルトが有利かな」と、古巣の20年ぶりとなる日本一を予想した。

捕手目線の注目ポイントは…？

　一方、選手として日本シリーズに6度出場した経験を持つ谷繁さんは、投手をリードする捕手目線で『初戦のひと回り目』をキーワードにチョイス。ヤクルトの正捕手・中村悠平がオリックス打線に対してどのような攻め方で第一印象を植え付けるかに注目した。

　谷繁さんは「去年とか一昨年の日本シリーズに例えると、甲斐拓哉（ソフトバンク）がかなり巨人打線に攻め込んだ極端なリードで狂わせたところがある。僕が出たときもそういうことをやってきた経験がある。そこはポイントになると思う」と、2年連続4連勝で日本一に輝いたソフトバンクバッテリーの攻め方も引き合いに出して持論を展開。

　2つ目のキーワードには『誰をマーク！？』と記し、「オリックス打線は吉田（正尚）、杉本（裕太郎）は3割以上の打率を残しているので力的にはあるので、誰しもがマークする。でも実は、その前のバッターをとにかく出さないようにマークするというところがポイントになるのでは」と、オリックスの1・2番をいかに抑えるかが、シリーズの行方を左右する注目ポイントになるとの見解を示した。

　1・2番という視点で見れば、ヤクルトも不動のリードオフマン・塩見泰隆がCSファイナルステージで大活躍を見せシリーズ突破に大きく貢献しており、オリックスバッテリーも警戒したい存在。両チームともに第1戦の立ち上がりにどれだけ強いインパクトを相手打線に植え付けられるか、これが大きな注目ポイントになりそうだ。


☆協力：フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』