厳しい見方が多い巨人
いよいよ8日から開幕するクライマックスシリーズ(以下CS)。セ・リーグでは2位の巨人が初出場の3位・DeNAをホームで迎え撃つ。
ただし、戦前の見方はと言うと、厳しいものが多い。対戦するDeNAには10勝14敗1分と負け越しており、8月11日から6連敗でシーズンを終了。最後まで連敗を止めることができなかったのだ。
特に急務なのが強力打線への対策。対DeNAのチーム防御率は4.21とセ・リーグ5球団の中で最も悪く、計118失点は1試合平均にして4.7点。よく打たれている。
さらに8日の初戦を直前に控えてエース・菅野智之のコンディションに不安が囁かれるなど、まさに緊急事態と言える状況。こんな時頼りになるものといえば、“ベテランの力”であろう。
まさかの2勝止まり...
終盤に来て存在感を発揮したのが、かつての大黒柱・内海哲也だ。
巨人一筋13年で7度の2ケタ勝利をマーク。最多勝も2度獲得し、6度のリーグ優勝に貢献した。
投手陣の精神的支柱として多くの若手から慕われ、チームの大黒柱だった男だが、ここ2年は苦しい投球が続き、“限界説”が浮上したこともあった。
2014年に7勝9敗と負け越し、連続2ケタ勝利が4年で途切れると、昨年は度重なる故障にも苦しめられて2勝止まり。9年続けた規定投球回にも届かずにレギュラーシーズンを終えた。
復活した大黒柱
それでも、シーズン最終戦で優勝したヤクルトを相手に勝利を挙げると、CSではファイナルステージの初戦という大役に任命。自身に勝ち星はつかなかったものの、5回途中1失点と粘りの投球でチームに勝利を呼び込んだ。
迎えた今シーズン。高橋由伸新監督からの期待を背負い、春季キャンプは一軍に帯同。完全復活を目指したが、ここでも故障が邪魔をする。左肩の違和感から調整が進まず、オープン戦ではヤクルト相手に4回途中8失点と炎上。開幕二軍スタートが決定した。
しかし、5月17日に一軍初登板を果たすと、6月1日のオリックス戦で今シーズンの初勝利をゲット。そこから6月は4戦3勝で負けなしと好投を披露し、勢いに乗った。
7月も3勝で1敗、8月は1勝2敗と負けこすも、9月も2勝を挙げて9勝に到達。3年ぶりとなる2ケタ勝利に王手をかけたが、9月24日のDeNA戦と30日の阪神戦はいずれもリリーフがリードを守れずに白星が消滅。「10勝」には届かなかった。
チームのピンチでこそ問われる真価
いよいよ迎える大一番、絶対に負けられない舞台だからこそベテランの真価が問われる。
故障の影響もあってかつての球速、球威は影を潜めているものの、緩急自在の投球で相手を翻弄。まだまだ“健在”であるところを見せた。
波紋を呼んだ“クルーズ問題”に、ここに来てエースの不安など、暗い話題の多いチームを救えるか。背番号「26」の躍動に期待したい。