どら増田のオリ熱魂!〜第5回〜
セ・パ交流戦が5月30日に開幕した。直前の5月28日に行われたロッテ戦(ZOZOマリン)で連敗を「9」で止めたオリックスは、本拠地の京セラD大阪でヤクルトを3タテ。連勝を4に伸ばし、巨人の本拠地である東京ドームに乗り込んだ。
ちなみに、東京ドームで行われた巨人戦の通算成績は22試合で6勝14敗2分。勝ち越せたのは2011年のみで、全体的には大きく負け越している。
オレンジ一色の中で…
これはその他の球場でもあり得ることなのだが、“在京の”オリックスファンが、日本一の人気球団である巨人ファンと対峙するという構図は、東京ドームという球場が醸し出す声援の“圧”も含めて特質なものかもしれない。
2010年以降になると、T-岡田の連日本塁打、寺原隼人の四球、坂口智隆の負傷退場、4時間48分の死闘劇、森脇浩司監督休養発表後の3連敗などなど、東京ドームに詰めかけたファンは、チームとともに幾多の喜怒哀楽を共有してきた。
大半のファンは「東京ドームの巨人戦は勝てないんだよなぁ…」と思いつつ、「でも巨人ファンに囲まれた東京ドームで、巨人に勝ったときの喜びはたまらない」という勝利の可能性を強く胸に抱きながら足を運んでいることだろう。
東京ドームを包む“圧”と“熱”
2015年から交流戦の試合数が、1カードにつき2年で6試合(本拠地・ビジター3試合ずつ)に変更されたため、昨年は東京ドームで巨人戦は行われなかった。ちなみに、2015年の交流戦では東京ドームで3連敗。果たして2年ぶりの東京ドーム巨人戦はどうだったのか?
6/2(金) 巨人 5-6 オリックス
6/3(土) 巨人 4-5 オリックス
6/4(日) 巨人 1-3 オリックス
結果から書いてしまうと3連勝。6年ぶりの全勝で、チームは今季初の7連勝を飾った。逆に巨人は先週まで9連敗していたオリックスが移り変わったかのように10連敗である。
巨人のチーム状況の悪さが随所にでた3日間だったが、初戦は9回2死の場面から代打ロメロの本塁打を皮切りに、3点のビハインドを追いつく劇的な展開。2戦目は5点リードした6回、巨人の村田修一に満塁弾を打たれ1点差に詰められる接戦。そして3戦目はドラフト1位ルーキーの山岡泰輔が8回まで好投、9回を同2位の黒木優太が登板するルーキーリレーで勝利を収めた。
いずれもドラマチックかつシビれる展開で、“東京ドームの巨人戦らしい”試合だった。そしてファンの声援にはここ数年(の巨人戦)で一番の“熱”を感じた。特に山岡のヒーローインタビュー終了後の歓声は東京ドームのベンチ裏通路まで響き渡るほどの迫力で、ファンも最後までオレンジの“圧”に屈しなかった。
チームを後押しするファンの存在
こうしたファンの姿が選手の目にはどのように映ったのだろうか?どうしても気になったので、選手に直撃してみた。
「(オリックスファンが)たくさん入ってたよね」
そう話してくれたのは小谷野栄一だった。
「すごく声もでてたじゃない。ホント、この3日間はあのファンの声援がチームを後押ししてくれたよね。それに僕らはやっぱ応えようとするし、その結果がこう(3連勝に)なったんだと思うよ」
まさに応援は力なり。この3日間、東京ドームに駆けつけたオリックスファンには堪らないコメントだろう。
小谷野はオリックスに移籍したときから「ファンのみなさんも僕らと一緒に闘いましょう」と訴えてきた選手であり、ファンの熱意を常に受け止めてきた。選手会長のT-岡田も「ファンのみなさんの声はいつも聴こえています。みなさんの声援があるから僕らはやれている」と話していた。
交流戦全勝で首位のオリックスは、6日から再び京セラドームに戻り、糸井嘉男が移籍した阪神との関西ダービー、9日からは森脇前監督が今季からコーチに就任した中日との連戦に臨む。
一時は「9」あった借金も、気づけば「2」となり、勝率.500も見えてきた。ファンの熱い声援がチームの後押しをすることで、再び貯金生活へ……さらには7年ぶりの“アレ”に導くことを期待したい。
文=どら増田(どらますだ)