大台へあと「5」本…
現地時間9月18日(日本時間19日)に行われたマーリンズ-メッツの一戦。日本ではイチローと青木宣親という日本人打者の“競演”が話題を集めた。
試合はマーリンズが先発全員安打をマークするなど13-1の圧勝を収め、スタメン出場のイチローは4打数2安打、打点1に17年連続となる敬遠四球のおまけ付き。対する青木も、1得点に終わったチームの中で5打数3安打、1盗塁と気を吐いた。
そんな日本が誇る2人の安打製造機が躍動した試合で、一際強い輝きを放ったのがマーリンズの主砲ジャンカルロ・スタントンである。
3番でスタメン出場した27歳は今季第55号となる3ランを含む2安打をマークし、チーム最多の4打点を挙げる活躍。メジャーでシーズン55本塁打に到達したのは、2006年のライアン・ハワード(フィリーズ/58本)以来で11年ぶりのことだ。
マーリンズの残り試合は「12」…。60本の大台も視野に入ってきた。残るシーズンであと5本を積み上げることができれば、2001年のバリー・ボンズ(ジャイアンツ/73本)とサミー・ソーサ(カブス/64本)以来で実に16年ぶりの大台到達となる。
ただし、当時はいわゆる“ステロイド全盛”とも言われていた時代。歴史的にも打高投低が顕著な時期であり、実際1998年から2001年の4年間で3人が計6度のシーズン60発超えを記録している(=ソーサ3回、マーク・マグワイア2回、ボンズ1回)。
そのため一概に比較することは難しく、当時の本塁打記録には「注釈」をつけるべきとの意見も今なお根強い。
16年ぶりの快挙へ!
時は流れ2017年…。今季は開幕から本塁打が乱れ飛び、現地18日時点でその数なんと5677本。2000年に記録されたメジャーシーズン最多本塁打(5693本)を超えるのは時間の問題となっている。
その中心にいるスタントンは2014年に24歳の若さでナ・リーグの本塁打王に輝き、そのオフには13年総額3億2500万ドル(当時のレートで約384億円)という超大型契約を締結して周囲を驚かせた。
ところが、翌年はケガの影響もあって74試合の出場に留まると、昨季も打率.240で27本塁打と低迷。契約の大きさが衝撃的だったために周囲の目も厳しく、“不良債権”としてトレード移籍の噂も取り沙汰された。
ちなみに、今季も6月末時点では21本塁打。その時点ではメジャー全体7位タイとさほど飛び抜けた成績ではなかったが、7月に入ると一気に量産体制。なんと8月末までの2カ月間で一気に30本塁打を記録し、全体2位のアーロン・ジャッジ(ヤンキース)に11本差をつける独走モードに入っている。
9月は打率.190に4本塁打と勢いに陰りが見えてきているものの、18日の一発をキッカケに再びペースを上げていくことができるか。チームはプレーオフ進出が絶望的な状況となった分、スタントンの60本超えに大きな注目が集まる。
文=八木遊(やぎ・ゆう)
※初出の際、2001年のバリー・ボンズの本塁打数が間違っておりました。訂正してお詫び申し上げます。