加藤匠馬がいよいよ正捕手に…?
今季から与田剛新監督の下でスタートを切った新生・中日。一時は首位争いも演じるなどの見せ場を作ったが、その後は大きな連敗こそないものの徐々に負けが込み、ここまで62試合を消化して27勝35敗の5位という位置にいる。
ペナントレースはまだ80試合以上残っているとはいえ、今季のセ・リーグは3位と4位、いわゆるAクラスとBクラスのちょうど境目に断層ができる展開となっており、7年ぶりのAクラス入りに向けては悠長なことは言っていられない状況。交流戦も終わりが近づき、リーグ戦が再開するまでにチームを押し上げる起爆剤のような存在の登場が待たれる。
そんななか、今季新たなチームの中で存在感を見せているのが“プロ5年目”を迎えた男たち。2014年のドラフトで入団してきた組が奮闘を続けている。
例えば、正捕手候補として多くのチャンスを得ている加藤匠馬がそのひとりだ。
与田監督とともにチームに加わった伊東勤ヘッドコーチがその才能に熱視線を送り、昨秋の就任時から期待を寄せ続けている27歳。昨季までの段階では、通算の一軍出場数がわずか5試合に留まっていたなか、今季は開幕スタメンにも抜擢されて46試合に出場。捕手としてチーム最多の出場数を記録している。
打率は.188(117-22)とやはり苦しんでいるものの、盗塁阻止率.308はリーグ3位の成績。昨季は松井雅人が.170でリーグ6位だったことを考えると、その強肩は大きな魅力だ。
名捕手・谷繁元信が引退して以降、長らく正捕手不在という課題に苦しめられてきたチームだけに、加藤にかかる期待は大きい。プロ入り5年で巡ってきた大チャンスを掴み、レギュラーの座を手中に収めることができるだろうか。
井領雅貴、遠藤一星も飛躍の年へ
その加藤と同期入団、ドラフト6位の井領雅貴と同7位の遠藤一星もキラリと光るものを見せている。
社会人からの加入で即戦力として期待された井領も、最多出場は昨季の22試合というところに留まっていたが、それが今季はすでに31試合に出場。6月9日の楽天戦からは1番として起用されると、以降は打率.368(22-8)と絶好調。12日のオリックス戦では1試合4安打の大暴れで勝利に貢献した。
遠藤もここまで45試合に出場を果たしており、2年前に記録したキャリアハイの50試合出場はもう目前。打率.279(74-19)とまずまずの数字を残しており、離脱中の平田良介の穴を埋めるべく奮闘している。
思い返してみると、2014年の入団組といえばドラ1の野村亮介がすでに引退をしているように、NPBを去ってしまった選手も少なくない(※記事下部参照)。
支配下では高卒の選手を指名しておらず、即戦力狙いに振り切った年だっただけに、上で触れた加藤や井領、遠藤といったところも、もし今季結果が出ていなければ厳しいオフを迎えていても不思議ではなかった。
尻に火がついた結果…かどうかは分からないが、当然期するところはあったことだろう。また、チーム状況的にも確固たるレギュラーのいないポジションが多かったことも幸いし、“崖っぷち”の3人の活躍によって競争意識は活性化されている。このような競争がどんどん起これば、戦力の底上げとともにチーム状況も上向いていくはずだ。
逆襲のキーマンになるか。中日を変えるかもしれない“2014年入団組”の奮闘に注目だ。
▼ 中日・2014年ドラフト指名選手
<支配下>
1位:野村亮介(三菱日立パワーシステムズ/投手) ※現役引退
2位:浜田智博(九州産業大/投手) ※現在は育成契約
3位:友永翔太(日本通運/外野手)
4位:石川 駿(JX-ENEOS/内野手)
5位:加藤匠馬(青山学院大/捕手)
6位:井領雅貴(JX-ENEOS/外野手)
7位:遠藤一星(東京ガス/内野手)
8位:山本雅士(四国IL・徳島/投手) ※現役引退
9位:金子 丈(大阪商業大/投手) ※現役引退
<育成>
1位:佐藤雄偉知(東海大相模高/投手) ※指名拒否
2位:石垣幸大(いなべ総合高/投手) ※現役引退
3位:藤吉 優(秀岳館高/捕手) ※現役引退
4位:近藤弘基(名城大/外野手) ☆現在は支配下