史上5位のスピード記録
今季4年ぶりに巨人の監督に復帰した原辰徳が大記録を成し遂げた。
7月30日の広島戦。巨人は好投を続けていた先発の山口俊が5失点を喫するなど、一時は猛追を許したものの、なんとか逃げ切って8-5で勝利。この1勝により、原監督は史上13人目となる「監督通算1000勝」を達成。試合終了後にはその表彰が行われた。
巨人一筋の監督としては、あの川上哲治、そして長嶋茂雄以来という快挙。通算1808試合での達成は史上5位というスピード記録だったというから、原監督の名将ぶりがよくわかる。
では、ほかの達成者というとどんな名前が出てくるのか。調べてみた。
2020年には巨人歴代最多勝の監督に?
ここでは、原監督を含めた13人の指揮官たちの成績を見ていく。
▼ 鶴岡一人(南海) ☆在任23年
[通算] 2994試合=1773勝1440敗81分(.601)
※山本一人名義も含む
▼ 三原脩(西鉄など) ☆在任27年
[通算] 3248試合=1687勝1453敗108分(.537)
▼ 藤本定義(阪神など) ☆在任29年
[通算] 3200試合=1657勝1450敗93分(.533)
▼ 水原茂(巨人など) ☆在任21年
[通算] 2782試合=1586勝1123敗73分(.585)
▼ 野村克也(ヤクルトなど) ☆在任24年
[通算] 3204試合=1565勝1563敗76分(.500)
▼ 西本幸雄(近鉄など) ☆在任20年
[通算] 2665試合=1384勝1163敗118分(.543)
▼ 上田利治(阪急など) ☆在任20年
[通算] 2574試合=1322勝1136敗116分(.538)
▼ 王貞治(ソフトバンクなど) ☆在任19年
[通算] 2507試合=1315勝1118敗74分(.540)
▼ 別当薫(大洋など) ☆在任20年
[通算] 2497試合=1237勝1156敗104分(.517)
▼ 星野仙一(中日など) ☆在任17年
[通算] 2277試合=1181勝1043敗53分(.531)
▼ 川上哲治(巨人) ☆在任14年
[通算] 1866試合=1066勝739敗61分(.591)
▼ 長嶋茂雄(巨人) ☆在任15年
[通算] 1982試合=1034勝889敗59分(.538)
▼ 原辰徳(巨人) ☆在任13年
[通算] 1809試合=1000勝752敗57分(.553)
13人中、チームを日本一に導いたのは実に11人。名将たちの名前がズラッと並ぶ。
なかでも原監督の勝率の高さは特筆すべきもので、7月31日までのまでの勝率.553は歴代4位という高さである。そして、Bクラスを経験した数もわずか1回という事実が物語るように、まさに“勝てる監督”として巨人を牽引してきた。
ちなみに、通算1000勝以上を達成した歴代の監督で、Bクラス経験が一度のみなのは、歴代最多勝記録の保持者である鶴岡一人と川上哲治のふたりだけ。この点でも、原監督の手腕が素晴らしいものだということがわかる。
原監督は昨オフの監督就任時に、巨人と3年契約を結んでいる。順調にいけば2020年シーズンには、長嶋茂雄や川上哲治の通算監督勝利数の記録を更新することは濃厚で、巨人一筋の監督としては歴代最多勝利数となる。
原巨人のさらなる前進に期待したい。
※原辰徳の成績は2019年7月31日現在
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)