国を巻き込んだ大変革!
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、史上初の中止が決まった『第92回選抜高等学校野球大会』。勝ち取ったはずの夢舞台が幻となり、やり場のない悔しさから涙を流す球児の姿も見られたが、日本のみならず全世界を巻き込んでの大騒動となっている“見えない敵”の脅威は大きい。今回ばかりは相手が悪かった。
大会中止の決定に伴い、どうにかこの無念を晴らせないものかと、元球児でもあるプロ野球OBや専門家などは「秋開催」の案や「各チーム1試合だけの交流大会」といった様々な救済案が挙げられている。
今回はその一環として、私が考えた“極論”を提案のひとつとして示したい。前もって言っておくと、実現性はかなり低い。日本の教育システムの抜本的変更を要するからだ。
具体的には、「新学期を秋に、学期末を夏に変更」するというもの。欧米を中心に感染が拡大していくなか、日本国内でも終息は見通せない状況。大学によってはすでに入学式を5月に変更したところもあり、全国で足並みを揃え、4月に新学期を開始できる可能性は日に日に低くなっている。
そこで、今回の問題を機に、思い切って新学期のスタートを変更するのはどうか、というのが案。欧米を中心に、国際的には主流となっている“9月スタート”の教育システムへと移行していこうという考えだ。
以降は年度末になる夏に、進級前の新2・3年生による全国大会を実施。秋に1~3年生による予選を行い、春に全国大会を行う、という形にする。これを機に、高野連が出場校を“選抜”するというシステムそのものを考え直してみても良いかもしれない。
また、「入学試験」に関しても、新学期を秋にずらすことで受験の時期も春~夏に変更となる。これまではインフルエンザなどの感染症が流行する冬場が勝負の時期だったが、こういったリスクも軽減できるというメリットも考えられる。
ということで、今春のセンバツに出場する予定だった32校はそのまま夏の大会に出場。そして、来春に49校による選手権を開催へ。実現するためには高野連だけでなく、文部科学省や日本政府を巻き込んだ法改正や抜本的な改革が必要となるが、思い返してみると、日本の教育システムもかつては9月スタートだった。
異常事態に見舞われた今年だからこそ、こういった大きな変更を考えるいい機会なのではないだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)