伊原春樹監督突然の休養! 田辺徳雄打撃コーチが監督代行へ
6月4日、DeNAに1-0で勝った試合後、西武・伊原春樹監督の緊急記者会見が行われた(その試合を終えた時点でチームは借金13の最下位)。「監督が一度引けば、いい風が吹くのではと考えた」と、まさかの休養宣言。開幕から約2ヵ月での出来事に、野球ファンは驚きを隠せなかったが、ある意味これは、事実上の解任と見るのが妥当な線だろう。代わりに打撃コーチの田辺徳雄が、監督代行を務めることになった。
真相は分からないが、伊原監督は、ヒゲや長髪の禁止、ユニフォームの着方にも厳しく、前近代的なしつけで有名である。かつてから「鬼」と呼ばれるほどで、その厳しさがあだとなり、選手との間に溝が生まれたとも報道されている。正直なところ、それが原因で勝てない選手たちならプロ失格なわけで、正直、それがすべてかのように報道するのはいかがなものかと思う。「監督が嫌だから成績を残せない」は、あまりに幼稚な落としどころであって、選手たちも個々の生活がかかっている。誰だって「勝ちたい」「いい成績を残したい」という思考で野球をやっていると考えるのが正常だと思う。だから、伊原監督が悪い、選手が悪い、という話をここで問題視したくない。
本当の問題は、今の西武に勝てる力があるのか。また、勝つための手段はあるのか、ということである。
森、山川のドラフト1位、2位コンビ ファームで絶賛売出し中!
6月8日現在、西武は21勝35敗の最下位に沈んでいる。浅村栄斗が左膝じん帯損傷で登録抹消されたことは痛いが、4番・中村剛也のバットに当たりが出ており、途中加入のメヒアにもめどが立っているのが救いだ。
投手陣は、岸孝之が5月の月間MVPを獲得するなど絶好調だったが、7日の巨人戦で右肩違和感により5回降板と不安が出てきた。もし岸が離脱するようなことがあれば、牧田和久、不安定な菊池雄星や野上亮磨、リリーフから先発に回った十亀剣あたりで戦うことを強いられることになる。絶対的エース不在での夏場の戦いは、あまりに酷だろうから、岸が大事に至らないことを願うばかり。
さて、勝てるのか、勝てないのか、である。正直、何とも判断がつかない。チーム全体の防御率や打率が極端に悪いわけではないが、開幕からなぜか勝てないのが今年の西武。一言、どこか勢いがない。であれば、ここは何か流れを変える起爆剤がほしい。
「見てみたい」、という思いからのひとつの提案ではあるが、今年のドラフト1位の森友哉と2位の山川穂高を一軍に抜擢するのはどうだろう。森はご存知、大阪桐蔭高で甲子園を賑わせた強打の捕手。イースタンでは正捕手として出場を続け、打率.301、本塁打3本を記録している。山川は富士大から入団した怪力選手で、打率.328、本塁打11本を記録。
もちろんルーキーであるから、守備面での不安や細かい走塁技術などは一軍レベルではないかもしれない。でも、勢いを持たせるには、彼らを使うくらいの思い切った選手起用があってよいのではないだろうか。
揺れるチームを応援し続けるファンだって、期待感やドキドキ感といった、一筋の光が欲しいのだから。
文・岩川悟(いわかわ・さとる)