コラム 2020.04.14. 07:09

防御率0点台の山崎伊織、驚異的奪三振率の小郷賢人が“2枚看板” 首都大学野球の「ドラフト候補」

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東海大・山崎伊織 [提供=プロアマ野球研究所]

首都大学野球のドラフト候補


 アマチュア球界にも多大な影響を及ぼしている、「新型コロナウイルス」の問題。今後についても不透明な部分がまだまだ多いが、再び日常の光景を取り戻す日に向けて、選手たちによる不断の努力は続いている。

 そんな彼らを応援する意味でも、今年のドラフト会議の中心となりうる大学生の候補選手をリーグごとに紹介していこうというのがこの企画。前回の東都大学編に続いて、今回は首都大学野球の有力選手を紹介する。


東海大のエース・山崎伊織が筆頭候補だったが…


 首都大学リーグといえば、2016年のロッテ1位・佐々木千隼(桜美林大)や、2018年の西武1位・松本航(日本体育大)など、ここ数年多くの好投手を輩出。昨年も日本体育大の吉田大喜がヤクルトの2位指名を受けており、この流れは続いている。


 そんななか、今年の筆頭候補として見られているのが、東海大の山崎伊織だ。

 明石商高では吉高壮(現・日本体育大)の控え投手だったものの、当時からセンスの高さは評判となっており、東海大進学後は2年春の時点で早くも3勝をマークしている。

 昨年から先輩の原田泰成(現・日立製作所)を抑えてエースとなると、春秋連続でMVPを受賞。特に秋は5試合・44回を投げて自責点はわずかに1、防御率0.20という圧巻の内容だった。

 伊藤智仁(元ヤクルト)を彷彿とさせるフォームで、150キロを超えるストレートは勢い十分。スライダーは速さと変化にバリエーションがあり、ほとんどストレートと2つの球種だけで抑え込める。総合力では大学ナンバーワンと言えるだろう。

 しかし、そんな山崎にアクシデントが発生した。昨年秋のリーグ戦後に行われた関東大学選手権で右肘を故障。明治神宮大会でも登板なしに終わっていたが、3月に入って右肘の靭帯が部分断裂していたことが発覚したのだ。トミー・ジョン手術を受ければ復帰まで1年半かかることから、かつて田中将大も受けたPRP注射による治療を選択したと報道されているが、春のリーグ戦には間に合わない可能性が高い。実力は間違いないだけに、どの球団も難しい判断を迫られることになりそうだ。


 山崎の同僚である小郷賢人も有力なドラフト候補だ。

 高校時代は完全な“未完の大器”タイプだったが、当時から150キロをマークする馬力には定評があった。東海大では2年春にリリーフとして台頭。11回と1/3を投げて無失点もさることながら、22奪三振で奪三振率は17.47という驚異的な数字を残し、リーグ戦終了後には大学日本代表にも選出されている。最速155キロのストレートと鋭く変化するスライダー、フォークはいずれも一級品。プロでも抑えを任せたいタイプだ。

 しかし、小郷も山崎と同様に故障に苦しんでいる。昨年春のシーズン終了後には右肘痛を発症。秋のリーグ戦では1試合も登板がなかった。この春はオープン戦でベンチ入りしているという情報は入っているが、どこまで万全の状態で投げられるかが気になるところである。


日体大の好投手・森博人はリリーフとして面白い!


 もうひとり、上位候補に挙げられているのが日本体育大の森博人だ。

 豊川高校時代は全国的には無名の存在だったものの、好投手が揃う日本体育大で1年秋からリーグ戦に登板。ここまでの通算成績は5勝4敗と目立つものではないが、これは松本航(現・西武)や東妻勇輔(現・ロッテ)、吉田大喜(現・ヤクルト)に北山比呂(現・東芝)といった上級生に好投手が揃っていたことが影響している。

 177センチと決して大柄ではないものの、肘を柔らかく使った鋭い腕の振りが特長で、コンスタントに150キロ台をマークする。また、球持ちが長いため、打者はスピード以上の勢いを感じて差し込まれることが多い。今年は先発を任せられることになりそうだが、いきなりトップギアで投げられるため、先輩の東妻と同様にプロではリリーフとして面白いタイプだろう。


 その他の投手では、ここも東海大から松山仁彦、さらには筑波大にも村木文哉や加藤三範といった面白い存在が。また、山崎の部分でも名前だけ登場している日本体育大の吉高壮に、帝京大の金田悠太朗や桜美林大の根岸涼なども候補となる。

 松山はリリーフタイプのサウスポー。独特のボールの角度とスライダーが光る。村木は昨年春に6勝をマークしてベストナインを受賞。少し上半身の強いフォームだが馬力は十分だ。加藤は投球術が光る左腕。昨年は故障で1年を棒に振ったが、下級生の頃の球威が戻れば面白い。

 金田は昨年春から先発に定着。躍動感あふれるフォームで140キロ台後半のスピードをマークする。根岸は昨年秋、二部ながら153キロをマークして注目を集めた右腕。実績は乏しいが、今年は一部での快投に期待がかかる。


 一方、野手は投手に比べて少し寂しい印象だが、2部所属ながら注目を集めているのが、獨協大の外野手・並木秀尊だ。

 昨年は春秋連続で2部のベストナインを受賞すると、シーズン終了後に行われた日本代表候補合宿にも選出。この合宿では中央大の五十幡亮汰が抜群のスピードを見せていたが、並木も負けない脚力でアピールに成功。打つ方でも早稲田大の早川隆久や慶応大の木沢尚文、明治大の2年・竹田祐といった東京六大学を代表する3人の投手からヒットを放ってみせた。

 この春のオープン戦にも多くのスカウトが視察に訪れており、日に日に注目度は高まっている。パンチ力がついてくれば、荻野貴司(現・ロッテ)のような外野手に成長する可能性を秘めているだろう。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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