東海・北陸の注目株
アマチュア球界にも多大な影響を及ぼしている、「新型コロナウイルス」の問題。今後についても不透明な部分がまだまだ多いが、再び日常の光景を取り戻す日に向けて、選手たちによる不断の努力は続いている。
そんな彼らを応援する意味でも、今年のドラフト会議の中心となりうる大学生の候補選手をリーグごとに紹介していこう、というのがこの企画。今回は愛知大学野球・東海地区大学野球(静岡・岐阜・三重)・北陸大学野球の3連盟から注目選手を紹介する。
中京大と名城大に好投手
山本は高校時代こそ無名だったものの、大学では着実に力をつけ、2年春に先発の一角に定着。リーグ戦後に出場した大学選手権でもリリーフながら2試合に登板してともに無失点と、見事な全国デビューを果たした。
少しクロス気味にステップするフォームだが、前で大きく腕を振れるのが長所。サウスポーらしいボールの角度があり、右打者の内角を突く攻撃的なピッチングが光る。140キロ台前半ながら打者の手元で勢いがあり、ストレートで空振りを奪えるのも魅力だ。
初祖も高校時代は控えだったが、素材の良さは十分で、山本ともに1年からリーグ戦のマウンドを経験。リリーフとして結果を残し、2年秋と3年春は先発としてともに3勝をマークした。
堂々とした体格のパワーピッチャーで、軽く腕を振っているようでも140キロ台中盤をマークするストレートは威力十分。リリースにばらつきがあり、細かいコントロールには課題が残るとはいえ、フォームに目立った悪い癖もない。
昨年秋は調子を落としてリーグ戦での登板がなかったが、スケールの大きさで言えば、愛知大学リーグでもナンバーワンの存在だろう。
投手でもう一人楽しみなのが、名城大の二宮衣沙貴(享栄高)だ。
今年のドラフト1位候補である栗林良吏(現・トヨタ自動車)が抜けた昨年、先発の柱となると春はリーグ5位、秋はリーグ3位の防御率をマーク。
大学生にしては細身だが、長いリーチを柔らかく使って上から腕を振り下ろすことができており、140キロ台前半のストレートは角度がある。打者の手元で変化するツーシーム、フォークも面白い。もう少し体が大きくなって、スライダー系のボールがレベルアップすれば、十分にドラフト候補になってくるだろう。
“素材型”の選手が豊富
野手では、中部大の丹下大輝(名古屋国際高)と中京大の河田航平(中京大中京高)が候補となる。
丹下は抜群のスピードが持ち味で、打っても昨年春・秋連続で打率4割をクリア。ヒットでも足を緩めない積極的な走塁が光る。
河田は高校時代から評判の強打者。右手の押し込みが強く、広角に強い当たりを放つ。脚力も十分で内野もこなす器用さも持ち味だ。
東海地区大学野球では中部学院大に好素材が多いが、中でも注目は村橋主晟(県岐阜商高)だろう。
高校の1年先輩である高橋純平(現・ソフトバンク)に少し体の使い方が似たフォームで、柔らかい腕の振りが光る。
2年時に肘を故障した影響で昨年は秋のリーグ戦2試合だけの登板に終わったが、素材の良さは申し分ないだけに最終学年でのブレイクに期待したい。
野手では、同じ岐阜リーグである中京学院大の吉位翔伍(中京高)が筆頭候補。
高校3年夏に出場した甲子園でもホームランを放つなど活躍したが、大学でも着実に成長。昨年春は岐阜リーグ、東海地区代表決定戦ともにMVPに輝いてチームの大学選手権出場に大きく貢献し、大会後の大学日本代表候補合宿にも召集された。
強く振り切って広角に打てるバッティングと安定したショートの守備はいずれも高レベルだ。
北陸大学野球は、下級生に比べて上級生が少し目立たない印象。
そんな中でも名前を挙げるとすれば、安定したスローイングとパンチ力のある打撃が光る福井工大の捕手・宮石翔生(佐久長聖高)、小柄ながらシュアな打撃とスピード溢れるプレーが目立つ金沢学院大の外野手・犬飼康太郎(三重・海星高)などが注目選手になるだろう。
全体的に見ても、「ドラフト指名確実!」と言われるような有力候補は見当たらないが、素材の良い選手は決して少なくない。
いずれも育成ではあるが、昨年は愛知大学3部の名古屋大から松田亘哲(現・中日)が指名され、東海地区でも静岡大から奥山皓太(現・阪神)がプロ入りを果たしている。
今年も彼らのような思わぬ逸材が現れることを期待したい。
☆記事提供:プロアマ野球研究所