デビューから15試合連続のQSも投球フォームにバランスを欠く
ヤンキースの田中将大がメジャー2敗目を喫した。
6月22日に行われたオリオールズ戦で、7回6安打3失点。メジャーデビューから15試合連続となるクオリティースタート(6イニング以上を自責点3以下)をクリアし、試合を作ったが、白星を得ることはできなかった。
気になるデータがある。
この試合、いつも以上に外野フライが多かった。過去の試合から調べてみると、メジャー15戦目で最多の7つ。前回6月17日のブルージェイズ戦が、わずかに外野フライ1つだっただけに、余計に目立って見えた。
BS中継の解説・与田剛氏が立ち上がりから、「今日の田中はバランスが悪いですね。良いときは、軸足に体重が乗って、もっと沈み込むような感じがあるのですが……」と指摘していた。
これを受けて、実況の田中崇裕氏が感覚的ではあるが、わかりやすい表現を使った。
「良いときは『グーッ、ポン』とためがありますが、今日は『スーッ』と前に出ていく感じがします」
たしかに見ていても、『グーッ』のためが少ない。このフォームの影響か、右打者の内角を突いたツーシームが中に入ったり、外角を狙ったスライダーが甘く入ったりと、ストライクゾーンの真ん中に集まる傾向があった。すると、必然的にフライも多くなる。2回表にスコープに打たれた先制ソロは、スライダーが甘く入ったものだった。
ゴロアウトよりも多かった外野フライ フライアウトが増えることでの懸念
ゴロアウトよりもフライアウト(外野フライ)のほうが多かったのは、今回のオリオールズ戦(ゴロアウト5、フライアウト7)が初めて。
6月6日のアスレチックス戦では、ゴロアウト4、フライアウト8だったが、このうち内野フライが5つ。外野フライが目立ったオリオールズとは状況が違うことがわかる。
ゴロとフライを比べた場合、長打になりやすいのはフライのほうだ。ホームランで考えると、ゴロはランニングホームランしかありえないが、フライは一歩間違えればスタンドインのリスクがある。
もともと、田中がフライアウトピッチャーであれば何ら心配はないが、日本時代も、これまでのメジャーでの登板もフライよりもゴロでアウトを重ねてきた実績がある。
昨季、日本で投げていた田中はゴロアウト(ライナーも含む)254、フライアウト157。ゴロアウト率61.8%は、規定投球回に達した中では木佐貫洋(日本ハム)の62.7%に次ぐ第2位である(*参考『ベースボールサミット第1回 田中将大、ヤンキース成功への道』より(カンゼン))。
このオリオールズ戦での外野フライが多かったのは、たまたまなのか。フォームのバランスが崩れていたのは、この日だけの問題なのか。そろそろ、これまでの疲れが下半身にたまってきてもおかしくはない頃だ。
ただ、状態が決していいとはいえない中で、7回3失点にまとめたのはさすがの一言。今後の田中の投球、ゴロアウトと外野フライの関係についても注目して見ていきたい。
文=大利実(おおとし・みのる)