コラム 2022.03.28. 07:08

プロ野球開幕の陰で…中日・梅津晃大は肘にメスを入れた

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中日・梅津晃大が下した大きな決断

表現しにくい「変な感じ」との戦い


 待ちに待ったプロ野球開幕に沸く3月、その陰で病室に閉じこもり、右肘をいたわり、感謝の言葉を口にし、医師に未来を託した。

 中日の背番号18・梅津晃大は3月18日、大阪市内の病院で右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けた。復帰目安は1年とされる大手術で、今季の登板は絶望となった。




 身長187センチのスラッとした体系で、顔が小さく、柔和な表情がトレードマーク。2018年のドラフト2位入団で、1位は大阪桐蔭高・根尾昂だった。

 ルーキーイヤーの2019年に初勝利を含む4勝(1敗)を挙げた。2020年も8月2日の本拠地・ヤクルト戦では、延長10回を投げきりスコアレスドローに貢献。オフには球団に直談判して、松坂の背負った18を得た。ただ、このゲームがターニングポイントだった。

 右肘に違和感があっても、検査の結果は炎症。一定のノースロー期間を設けて、再度、投げ始める。強度を上げて、ブルペンでも感触を得てゲームで投げる。しかし、試合は練習とは違う力がかかる。ここでまた痛み、張り……何とも表現しにくい「変な感じ」に襲われる。昨季は登板3試合に留まった。



「一軍に復帰して1球目、今までで最高のボールを投げられるように」


 弱さと決別する2022年シーズンにしようとした。

 オフにはかつて右肩痛をかかえていたチームメイト・福谷浩司の通う三重県内の施設に複数回、足を運んだ。

 骨、筋肉、靱帯……。

 「体のつくりを理解して、投球動作でどこにどう負担がかかるか、勉強してきました。理にかなった投げ方をすれば、新らしい自分になれると思いました」

 痛みとは一定の距離を置いて、立浪新政権でのキャンプイン。序盤は順調だった。


 だが、描いた未来予想図の書き換えを迫られた。

 春季沖縄キャンプも最終盤の2月25日。アグレスタジアム北谷で行われたシート打撃。球速は最速139キロだった。

 最速150キロ超が持ち味。10キロ以上、遅かった。腕を振れずに、うつむく。

 「痛かったんです」

 担当の落合英二ヘッド兼投手コーチに打ち明け、キャンプは強制終了。愛知県内外の複数の病院で診察し、手術の必要性を感じた。


 「手術を許可していただいた球団には感謝しています。リハビリは長くなります。一軍に復帰して1球目、今までで最高のボールを投げられるように頑張っていきます」

 梅津は、落合ヘッドから掛けられた言葉を宝物にするという。リハビリの道は険しい。もちろん、気温にも左右される。体がこわばる冬を経て、状態を上げながら来季の登板を狙う。

 落合ヘッドからどんな言葉を掛けられたのか──。打撃投手、シート打撃、二軍でのマウンドを経て、一軍登板。カメラのフラッシュを浴びた時、右腕に聞いてみようと思う。


文=川本光憲(中日スポーツ・ドラゴンズ担当)

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