オールスターは赤ヘル軍団が席巻 中日からはルナ、森野が落選
去る7月3日、マツダオールスターゲーム2014の出場選手が発表された。
23年ぶりのリーグ優勝を目指し首位・巨人に追いすがる広島が、シーズンの勢いそのままにオールスター出場枠をも席巻している。ファン投票では全11枠のうち、なんと8枠を独占。昨季から続く若手の台頭を反映し、“カープ女子”から黄色い声が飛ぶ赤ヘル軍団がずらりと顔をそろえた。
しかし、選出から漏れた選手に目を向ければ、落選が惜しまれる顔ぶれが見られるのもまた事実。エクトル・ルナ(中日)は打率.342、11本塁打、52打点(7月4日現在)という堂々たる成績で首位打者に立ちながら、出場選手枠から漏れてしまった。同じく中日の森野将彦は日本人最多、リーグ4位の48打点を挙げながらの落選だ。
ルナのポジションである三塁手の出場枠を獲得したのは広島の堂林翔太。打率.238、4本塁打、15打点と打撃三部門でルナに完敗しているばかりか、規定打席にも達していない。森野と同ポジションの一塁手で出場予定のキラ・カアイフエに至っては、不振を理由に2軍に降格した6月9日以降、復帰のめどさえ見えていない状況にある。
長年、下位に沈んでいたひいき球団が好調となれば、所属選手のオールスター出場を望むファン心理は大いに理解できる。しかし、一方で真のプロフェッショナルが一堂に会する「夢の球宴」というオールスターの本質を勘案すれば、打撃成績、投手成績等、客観的指標による選抜を加えるなど、なんらかの変革が必要な時期に差しかかっているようにも思えてくる。
華はなくとも実力者ぞろい 夏場以降の中日は怖い
さて、その球宴に先立つ7月11〜13日、中日は本拠・ナゴヤドームで広島を迎え撃つ。今季はここまで2勝6敗と分が悪い。しかし、中日の強みは華がなくとも職人肌の実力者がそろう伝統だろう。前出のルナ、森野のほか、今季は両リーグ最速で100安打に達するなど活躍目覚ましい大島洋平、森野に次ぐ日本人2位の打点を挙げているベテラン・和田一浩らが居並ぶ強竜打線は上位球団になんら引けをとらない。
また、他球団ファンの間では“気がつけば中日”とも言われ、夏場以降の勝負強さを恐れられているチームであることは間違いない。
吉見一起、荒木雅博の戦列復帰が目前に迫り、平田良介も来月には戻ってくる。シーズンはまだ折り返し地点に達したに過ぎない。球宴大量選出に湧く広島に、ファン投票では測れない“真の実力”を見せつけるときである。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)