東京六大学は早稲田大の安田虎汰郎(日大三)、東都大学では中央大の東恩納蒼(沖縄尚学)が1年生ながら早くも勝利投手となり、大きな話題となっている。それ以外のリーグで高い注目を集めている新入生がいる。大阪商業大の真鍋慧(広陵)だ。
名門の広陵で1年夏から中軸を任されると、明治神宮大会では2年連続でホームランを放つなど活躍。メディアからは「広陵のボンズ」と呼ばれた。甲子園に3度出場し、ホームランこそなかったものの8試合で29打数13安打、打率.448という見事な成績を残した。
昨年のドラフトでは上位候補という声が多かったが、4位以下であればプロ入りしないという条件を提示していたこともあって指名が見送られ、大阪商業大に進学した。
大阪商業大が所属する関西六大学野球のレベルは決して低くないが、東京六大学や東都大学と比較すると、どうしても注目度が低い。しかしながら、大阪商業大は毎年のようにプロへ選手を輩出しており、昨年は上田大河(西武)と高太一(広島)がドラフト2位で指名された。
今年は、外野手の渡部聖弥が有力な候補と見られており、4月6日に行われた大阪学院大との開幕戦には、巨人の水野雄仁スカウト部長をはじめ、多くのスカウト陣が視察に訪れた。
この試合で真鍋は2番、指名打者で先発出場。第1打席はファーストゴロに倒れたものの、ワンアウト二・三塁のチャンスで迎えた3回の第2打席ではセンターオーバーのタイムリーツーベースを放ち、リーグ戦初安打と初打点をマークする。続く4回の第3打席でも、センター前へタイムリーヒットを弾き返し、2安打2打点という見事なデビューを飾った。
試合後の取材でも、ドラフト候補の渡部よりも先に多くの記者が真鍋に殺到するなど、注目度の高さがうかがえた。この結果に対して、真鍋は「チャンスに1本出たのは良かったです。ただ投手のレベルが高く変化球も真っすぐもキレが高校野球とは全然違いますし、確実性や守備と走塁はまだまだ足りないので鍛えていきたいです」と話している。
190センチ、98キロという堂々とした体格で、高校時代からパワーに注目が集まってきた真鍋だが、バッターとしての魅力はそれだけではない。昨年夏の甲子園での取材では、引っ張るだけではなく、センターから左方向へも強い打球を放つことを普段から心掛けていると語っており、大阪学院大戦で放った2本のタイムリーはいずれもセンター方向と、広角に打つことができるのだ。
高校時代と比較して、大きく変わった点が構えとタイミングのとり方だ。以前はバットを頭の近くに置いて構えていたが、体から離して少し動かしながらトップの形を作るようになっていた。
試合後、筆者がこの点を指摘すると、真鍋は「前の構えだとどうしても力んでしまうことがあったので、力を抜く意図で(構えを)変えました。オープン戦でもこの形で打っていて、強く振ることができています」と答えてくれた。レベルの上がった大学野球に対応するための意識の高さがよく分かる。
大学入学後、外野に取り組んでおり、試合前のシートノックではセンターに入っていた。動きやスローイングの強さは、先輩の渡部より物足りないという印象は否めないものの、脚力と肩の強さは備えている。ここからレベルアップしていけば、外野も十分に任せられる可能性は高そうだ。
続く2試合ではシングルヒット1本に終わったが、4月14日の龍谷大との2回戦ではリーグ戦初ホームランをライトスタンド中段へ叩き込み、4安打4打点の大暴れを見せている。
大学野球での目標は「リーグ記録を残せるような選手になること」と話していた真鍋。関西六大学のホームラン記録は、大学の先輩である佐伯貴弘(元横浜、中日)の持つ12本。この記録を塗り替えるべく、順調なスタートを切った。今後も、そのバットで関西だけでなく、大学球界全体を盛り上げてくれることを期待したい。
文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
名門の広陵で1年夏から中軸を任されると、明治神宮大会では2年連続でホームランを放つなど活躍。メディアからは「広陵のボンズ」と呼ばれた。甲子園に3度出場し、ホームランこそなかったものの8試合で29打数13安打、打率.448という見事な成績を残した。
昨年のドラフトでは上位候補という声が多かったが、4位以下であればプロ入りしないという条件を提示していたこともあって指名が見送られ、大阪商業大に進学した。
開幕戦で“持ち味”を発揮
今年は、外野手の渡部聖弥が有力な候補と見られており、4月6日に行われた大阪学院大との開幕戦には、巨人の水野雄仁スカウト部長をはじめ、多くのスカウト陣が視察に訪れた。
この試合で真鍋は2番、指名打者で先発出場。第1打席はファーストゴロに倒れたものの、ワンアウト二・三塁のチャンスで迎えた3回の第2打席ではセンターオーバーのタイムリーツーベースを放ち、リーグ戦初安打と初打点をマークする。続く4回の第3打席でも、センター前へタイムリーヒットを弾き返し、2安打2打点という見事なデビューを飾った。
試合後の取材でも、ドラフト候補の渡部よりも先に多くの記者が真鍋に殺到するなど、注目度の高さがうかがえた。この結果に対して、真鍋は「チャンスに1本出たのは良かったです。ただ投手のレベルが高く変化球も真っすぐもキレが高校野球とは全然違いますし、確実性や守備と走塁はまだまだ足りないので鍛えていきたいです」と話している。
190センチ、98キロという堂々とした体格で、高校時代からパワーに注目が集まってきた真鍋だが、バッターとしての魅力はそれだけではない。昨年夏の甲子園での取材では、引っ張るだけではなく、センターから左方向へも強い打球を放つことを普段から心掛けていると語っており、大阪学院大戦で放った2本のタイムリーはいずれもセンター方向と、広角に打つことができるのだ。
高校時代と変化した点とは…!?
高校時代と比較して、大きく変わった点が構えとタイミングのとり方だ。以前はバットを頭の近くに置いて構えていたが、体から離して少し動かしながらトップの形を作るようになっていた。
試合後、筆者がこの点を指摘すると、真鍋は「前の構えだとどうしても力んでしまうことがあったので、力を抜く意図で(構えを)変えました。オープン戦でもこの形で打っていて、強く振ることができています」と答えてくれた。レベルの上がった大学野球に対応するための意識の高さがよく分かる。
大学入学後、外野に取り組んでおり、試合前のシートノックではセンターに入っていた。動きやスローイングの強さは、先輩の渡部より物足りないという印象は否めないものの、脚力と肩の強さは備えている。ここからレベルアップしていけば、外野も十分に任せられる可能性は高そうだ。
続く2試合ではシングルヒット1本に終わったが、4月14日の龍谷大との2回戦ではリーグ戦初ホームランをライトスタンド中段へ叩き込み、4安打4打点の大暴れを見せている。
大学野球での目標は「リーグ記録を残せるような選手になること」と話していた真鍋。関西六大学のホームラン記録は、大学の先輩である佐伯貴弘(元横浜、中日)の持つ12本。この記録を塗り替えるべく、順調なスタートを切った。今後も、そのバットで関西だけでなく、大学球界全体を盛り上げてくれることを期待したい。
文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所