森友哉、岡大海は2年目にジャンプアップ!
昨季、新人王に輝いたのは山崎康晃(DeNA)と有原航平(日本ハム)の両投手。これでセ・リーグは5年連続で投手が受賞。パ・リーグに至っては1998年の小関竜也(西武)を最後に、野手の新人王は生まれていない。
1年目にして31本塁打を記録した清原和博(当時西武)のような例外はあるが、野手の場合、投手と比べると新人が1年目から活躍することは非常に難しい。逆に考えれば、いわゆる「2年目のジンクス」とは無縁なのかもしれない。
1年目でプロとしての下地を作った野手が、2年目に開花した例は珍しくない。あの松井秀喜(当時巨人)も、のちの活躍を考えれば1年目の成績は決して芳しいものではなかった。それが、2年目には一気に成績を飛躍させている。
松井秀喜(巨人)
57試 率.223 本11 点27 盗1(1年目/93年)
130試 率.294 本20 点66 盗6(2年目/94年)
松井同様、昨季、プロ2年目だった野手のなかにも、1年目と比較して大きく成績を伸ばした選手たちがいる。
森友哉(西武)
41試 率.275 本6 点15 盗0(1年目/14年)
138試 率.287 本17 点68 盗0(2年目/15年)
岡大海(日本ハム)
15試 率.114 本0 点0 盗1(1年目/14年)
101試 率.236 本4 点26 盗18(2年目/15年)
森友哉(西武)は、高卒2年目ながら打力を買われ主にDHとして138試合に出場。17本塁打、68打点は、2年目の松井に十分に匹敵する好成績だ。12球団一の“快足集団”でチーム3位の18盗塁を記録したのが岡大海(日本ハム)。もともと身体能力の塊のような選手。今季は、打撃も含めてトータルでの成長が期待される。
期待のルーキーだけでなく2年目野手に注目
さて、昨季、プロ1年目を終えた選手たちはどうだっただろうか。今季のジャンプアップを予感させる、“芽を吹いた”選手たちを挙げてみよう。
野間峻祥(広島)
127試 率.241 本1 点10 盗8
中村奨吾(ロッテ)
111試 率.230 本5 点21 盗4
倉本寿彦(DeNA)
102試 率.208 本2 点20 盗0
福田将儀(楽天)
67試 率.216 本1 点12 盗5
西野真弘(オリックス)
57試 率.304 本3 点22 盗9
江越大賀(阪神)
56試 率.214 本5 点16 盗2
浅間大基(日本ハム)
46試 率.285 本0 点10 盗4
遠藤一星(中日)
41試 率.271 本4 点14 盗3
注目選手のひとりは西野真弘(オリックス)。右手首のけがにより戦線離脱となったが、それ以前の活躍に対し「17年ぶりのパ・リーグ野手新人王誕生なるか」といった報道も目立っていた。悔しさと1年目の経験を糧に、成長した姿を見せたいところ。
昨季、虎党をにわかに色めき立たせたのが江越大賀(阪神)。5本塁打は中村奨吾(ロッテ)と並びルーキーのトップ。持ち前の長打力をさらに磨き、長年、生え抜きの大砲を待ち望んでいるファンの期待に応えたい。
ブレーク候補筆頭は、浅間大基(日本ハム)だろう。昨季、陽岱鋼の穴を埋めたのは、抜きん出た野球センスを持つ高卒ルーキーだった。9月23日のソフトバンク戦では、高卒新人では1986年の清原以来のサヨナラ打を放つなど、強いインパクトを残した。栗山英樹監督は、今季の3番打者候補に浅間の名を挙げている。
2年目のジンクスならぬ“2年目のブレーク”なるか。今季期待のルーキーだけでなく、2年目の野手たちにも注目したい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)