コラム

“孤高の天才”?イチローの「ライバル」を考える

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メジャー通算3000安打の偉業まであと「18」としているイチロー

プロ入りから四半世紀に渡り活躍


 ピート・ローズのメジャー最多4256安打を超える日米通算4257安打を達成し、次なる目標であるメジャー通算3000安打へ向けて着々と安打を積み重ねているイチロー。

 今年で43歳になる男は、1991年に18歳でオリックスに入団してからもう四半世紀を迎えようとしている。

 昨年は苦しいシーズンを送り、ついには“引退”の二文字まで囁かれたが、今年は見事に復活した。ここまでの打撃を見る限り、少なくともあと2~3年は現役生活を続けるだろう。

 “50歳まで現役”といった類のニュースも時折目にするが、イチローなら本当に実現しそうで恐ろしい。


野茂、松坂、マウアー、ハドソン...?


 25年近い現役生活の中で、幾つもの名場面・名勝負を演出してきたイチロー。日米でさまざまな記録と戦い、過去の偉人たちの記憶を蘇らせてきた男にとって、「最大のライバル」とは誰だったのだろうか…。

 オリックス時代なら、野茂英雄や松坂大輔の名前が真っ先に思い浮かぶ。日本を飛び出し、メジャーに舞台を移した後も、2人とは名勝負を演じてきた。

 同じ打者では、タイプこそ違うが松井秀喜が日本時代から常にライバルとして比較対象とされてきた。松井も同じように海を渡り、メジャーで実績を残している。

 また、メジャーリーガーで真っ先に名前が挙がるのは、ツインズのジョー・マウアー。毎年のようにイチローと首位打者争いを演じ、イチローの2度を上回る3度の首位打者に輝いた好打者だ。

 その他にも元ホワイトソックスのマグリオ・オルドネスや、元レンジャーズのマイケル・ヤングなどと演じてきたハイレベルな首位打者争いも記憶に新しい。


 メジャー移籍後、初めて対戦した投手であるティム・ハドソンもライバルと呼べる存在だった。

 デビュー戦で3打数ノーヒットに抑え込まれたハドソンとは、同じ地区の所属だったこともあってその後も頻繁に対戦する。イチロー3年目の2003年までは通算46打数8安打(打率.174)とコテンパンにやられていたが、シーズン最多の262安打を達成した2004年は15打数6安打(打率.400)と打ち込んだ。

 ハドソンは2015年で現役を引退したが、その年の最後の対戦ではイチローが安打を放ち、デビュー戦のリベンジを見事に果たしている。


イチローの“本当のライバル”とは...


 イチロー本人も、ここまでに挙げた選手たちには特別な思いを持っていると想像できる。しかし、イチローに「最大のライバルは誰か?」と聞いても、明確な答えは返ってこないのではないか。

 そして考えてみると、ひとつの結論にたどり着いた。むしろ、実はイチローにとっての「最大のライバル」とは、“イチロー本人”なのではないかと……。

 25年にわたって目の前の1打席1打席、いや、1球1球に魂を込めて対峙してきたイチロー。どんな時もその“相手”となるのは、実はイチロー本人だったとは考えられないだろうか。

 2004年に打ち立てた262安打のシーズン最多安打記録や、間もなく達成するメジャー通算3000安打といった大記録に関しても、“自分自身”というライバルに打ち勝ち続けてきた証しに他ならない。

 そして、いくつもの記録を塗り替えて来たイチローでも、まだライバルを完全に倒した気にはなっていないはずだ。なぜなら、いまだにワールドシリーズに出場できていないという事実があるから。

 メジャーでやり残したことがある限り、イチローの“ライバル”との戦いはまだまだ続いていく。


文=八木遊(やぎ・ゆう)
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