コラム 2015.12.29. 22:24

横浜スタジアムの買収、反対は1社だけ TOB成功するとどうなる?

観客動員は大幅増 それでも赤字経営がつづいている


 11月下旬、横浜DeNAベイスターズが、本拠地球場である横浜スタジアムの運営会社、株式会社横浜スタジアムに対するTOB(株式公開買い付け)を発表した。

 2012年の横浜DeNAベイスターズ発足以来、順調に観客動員を伸ばし、昨年の観客動員数はDeNA参入前の2011年と比較すると165%、1試合平均観客数は15,308人から25,546人へと右肩上がりの成長を続けている。また、ファンクラブ会員も2011年比で10倍に増え、球団が目指す『地域に根付いたチーム』として着実に歩みを進めている。

 一方で、球団の経営が順風満帆かというと、必ずしもそうではない。球団の発表によると、観客数も増えて経営面で大きく改善することは出来たが、いまだ赤字経営は続いている状況だという。


TOB成立でもっともメリットがあるのは…


 今回の買収に関して、いくつか整理しておくポイントがある。まず、球団が買収するのは横浜スタジアムではなく、横浜スタジアムの管理、運営の委託会社であることだ。あくまで、スタジアムは横浜市の持ち物であり、球団は横浜市と協議の上で改修計画を立てることになる。

 球団が実施したTOB説明会で「これまでは、球団の(スタジアム)改修提案に対して、スタジアムの保有者である横浜市と直接協議をすることが出来なかった。その点が球団経営上、非常に大きな課題だった」と語っている。ベイスターズは『コミュニティボールパーク』化構想を掲げ、スタジアムでの空間演出に注力しているが、それを実現させるためには、自ら横浜スタジアムの運営を行う必要がある、と判断したのである。

 また前述したように、赤字経営が続いていることも、一つの大きなポイントだと言えそうだ。

 球団は2012年に横浜スタジアムの球場使用に関して、7年の長期契約を結ぶことに成功している。入場料収入の25%を支払っていた球場使用料も13%まで引き下げられ、健全な球団経営に向けた環境は整いつつあるように思われた。

 しかし、観客動員を大きく増やした現在も、黒字への転換は出来ていない。

 「今回の買収で入場料収入による球団の売上が劇的に伸びると勘違いされている人が多いが、それは難しい。」

 スタジアムの座席数を増やすことは可能になるが、キャパシティーを考えると物理的に限りはあり、短期的には球団の売上に対する影響がそこまで大きくないというのが、球団の見通しだ。


横浜に球団を持ち続ける


 では、今回の買収の意図は何なのか。

 それは「横浜という場所に球団を持ち続けるという意思表示」だと、TOB説明会で語られている。

 「球団では、横浜を愛する皆さまと球団・球場が共に取り組む、“まちづくり”プロジェクトである『I☆(LOVE)YOKOHAMA』など、様々な取り組みを通して、地域から愛される球団を目指しています。その中心となるのが、横浜スタジアムになります。今回の株式会社横浜スタジアムへのTOBは、今後も横浜の街に根付いた球団経営を推し進めていく原動力になります」

 これまで球団の他県への移転や、サッカーJリーグの横浜F・マリノスの練習場「マリノスタウン」跡地への本拠地移転など様々な噂が流れていたが、今回のTOB実施における球団からの説明を聞く限り、当面は横浜スタジアムでやっていくという意思表示だと捉えることができるだろう。

 さらに、球団が考える黒字化のメリットも大きい。

 「当然、球団経営を黒字化させることは必要なことです。親会社であるディー・エヌ・エーからも、球団の独立経営を求められています。TOBを実現させることで、劇的に収支が改善されることはありませんが、ファンの皆様により良いサービスを提供することは出来ます。その結果、地域の皆様から愛され、ファンが増えることによって、長期的な視点で球団を黒字化させることは大きな目標のひとつになります。」

 そして、黒字化の先にはチームのあるべき姿を見据えている。

 「球団が黒字化すると、戦力補強に費用をまわすことが可能になります。地域に愛される球団であるためには、チームが強くなければいけません。球団の黒字化はチーム強化に直結する話だと考えています。」

 これからも横浜に根付き、強いチームを作る。

 球団が示した決意はこのふたつである。今回のハマスタ買収が成功し、球団の思惑通りに経営が進んでいけば、もっとも恩恵を受けるのは、ファンと地域の人々と言えるだろう。


TOBは成立の見通し 残る1社の大株主


 TOBの期間は2016年1月20日までとなっており、球団は過半数の株式取得を目指している。関係各所への取材で、過半数を超えてTOBが成立する見通しであることが分かった。

 持株比率の高い大株主は、残る一社を除いてTOBに応じる意向を表明しているという。また、全体の6割を占める個人株主もTOBを受け入れる声が圧倒的に多い。横浜DeNAベイスターズを応援するファン、そして横浜という地域にとって、今回のTOBがどれだけ有益なのかを各株主が理解した結果だと言えるだろう。

 TOBが無事に成立し、球団が推し進める“地域と一体になった球団運営”が実現されると、どのような変化が生まれていくのか。そして、ファンに対してどのようなサービスが提供されるのか。

 横浜DeNAベイスターズの今後を左右する、大きな転換点になることは間違いなさそうだ。

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