実は全米3番目の大都市・シカゴ
トロント・ブルージェイズをFAとなった川崎が、シカコ・カブスとマイナー契約を結んだ。
メジャー生活の中で最も長い3年間を過ごしたトロントを離れることになった川崎。新天地となるシカゴと、シカゴを本拠地とするカブスとは一体どんなところなのだろうか。
シカゴは、アメリカ大陸の中央・やや北東寄りに位置するイリノイ州にある。同州最大の都市であり、アメリカ全体で見てもニューヨークとロサンゼルスに次ぐ3番目の人口を誇るという大都市だ。
野球ではカブスとホワイトソックスが本拠地としており、バスケットではあのマイケル・ジョーダンで有名なブルズ、アメフトではベアーズ、アイスホッケーではブラックホークスと4大スポーツのプロスポーツチームが存在しているため、一年中スポーツをたのしむことができる土地となっている。
カブスは1871年に創設されたという歴史あるチームで、創設以来本拠地を移転していないチームとしてはメジャーで最も長い歴史を持つチーム。本拠地のリグリー・フィールドもフェンウェイ・パーク(ボストン)に次ぐ2番目に古い球場として知られており、憧れの球場として名前が挙がることも多い伝統的な球場だ。
1990年代中盤の時点でリーグ優勝は16回を数えるという屈指の強豪チームであったカブスだが、最後にリーグ制覇を成し遂げたのは1945年のこと。ワールドシリーズに至っては1908年に勝利して以来、100年以上もチャンピオンの座から遠ざかっている。
近年も2010年から2014年までは5年続けて地区最下位に沈むなど苦しい時間を過ごしていたが、名将ジョー・マドンを迎えた昨シーズンは若き力が爆発して大躍進。FAでの積極的な補強もハマり、シーズン97勝を挙げてプレーオフにも進出した。
優勝できないのは“ヤギ”のせい!?
歴史の古い球団だけに、ネタにも事欠かないカブス。最も有名なのが、「ビリー・ゴートの呪い(通称・ヤギの呪い)」である。
キッカケは1945年、カブスが最後にリーグ優勝を果たした年のワールドシリーズ。そのシリーズの第4戦、カブスが2勝1敗で迎えた試合である事件が起こった。
リグリー・フィールドには、観戦に毎回ヤギを連れてくるという名物ファンがいた。その男はこの日もいつものようにヤギを連れて球場へとやってきたが、カブスの関係者がこの日に限って「臭い」を理由にヤギの入場を拒否。するとこれに激怒した男は「2度とこのリグレー・フィールドでワールドシリーズがプレーされることはないだろう」と言い放ち、その場から立ち去っていってしまった。
カブスはこの試合からまさかの3連敗を喫してワールドチャンピオンを逃すと、それ以降はワールドチャンピオンはおろかリーグ優勝からも遠ざかるようになってしまい、「呪い」として恐れられるようになったのだ。
また、昨年大きな話題となったのが、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』との関係について。
アメリカのみならず、日本でも大人気となったSF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。主人公の高校生マーティ・マクフライがエメット・ブラウン博士(通称ドク)の開発した乗用車型のタイムマシンでタイムトラベルをするお話で、その中にカブスが出てくる有名なシーンがある。
そのシーンというのが、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』にて、マーティとドクが劇中から30年後の世界にあたる2015年にタイムスリップしたところ。そこでマーティが「カブスがマイアミの球団をスウィープで破りワールドチャンピオン」というニュースを目撃し、ひどく驚くという描写が出てくる。
驚きの要因としては2つあり、まずは「ヤギの呪い」によってもう優勝はできないと言われ続けたカブスが優勝したという点と、今ではマイアミにはマーリンズがあるが、当時はマイアミにメジャー球団は存在していなかったという点。
このネタは後にマイアミ・マーリンズが創設したことで「予言が当たった」と注目を集めたが、マーリンズもカブスもナ・リーグ所属のためそれがワールドシリーズで激突することはなく、2015年のカブスも快進撃は見せたものの、ワールドチャンピオンには手が届かずに終わった。
そんな歴史と伝統を誇るチームが、川崎の新天地。底抜けた明るさを誇るこの男なら、呪いを解いてくれるかも…?そんな期待を抱きながら、まずはメジャーへの這い上がりに期待したい。