ニュース 2016.04.09. 20:30

熱いぞ女子プロ野球! 兵庫・里が通算200奪三振を達成

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兵庫ディオーネの里綾実
 「野球は男だけのスポーツじゃない」。この信念をモットーにマウンドに上がる女子プロ野球選手がいる。兵庫ディオーネ里綾実。2014年の女子W杯でMVPを獲得したこともある。女子球界No.1ピッチャーだ。米国を破り、日本チームの4連覇に大きく貢献した立役者だ。

 その里が、9日に行われた日本女子プロ野球リーグ戦、埼玉アストライア戦で偉業を達成して見せた。3回、二死満塁とピンチに立たされた里だったが、埼玉の4番岩谷を空振り三振に斬り、通算200奪三振を達成。プロ入り4年目の快挙だった。4年間、わずか88試合の登板で成し遂げた記録。男子野球にしてみれば、大した数字ではないかもしれない。だが、女子野球でこの記録を達成することは、とんでもないことなのだ。

 まず試合回数が7回ということ。また、男子に比べパワーに劣るため、豪快なスイングをする選手よりは、確実にヒットを狙いに来るコンパクトな打撃が主流の女子野球において、三振を奪うことは至難の業なのだ。「三振を狙っても取れないです。当てにくる打撃をする選手が多いので、追いこんでもバットに当てられてしまうんです」と苦笑する。

 手の大きさ、指の長さ、そして握力。こちらも男子に比べれば、不利は否めない。特に投手は「ボールを挟むフォークとかは無理です。手が小さいからボールを掴めない」というように、投げられる球種が限られてしまう。

 このような絶対的不利な状況でも、里は三振を奪う。MAX125キロのストレートを軸に、スライダー、シュート、カーブと4種の球種を操り、打者を翻弄する。この変化球に、里が“女子”でも三振を奪える秘密があった。

「男子のように、フォークでボールを挟んだり、ナックルのような握り方ができないので、ボールの回転を多くするしかないんです。変化球を投げる際に、肘と手首を利かせて、とにかく回転の多い変化球を投げるイメージです」。

女子ならではの、柔らかいしなりから放られたボールは、打者の手元で鋭く変化する。女子球界では最高峰の125キロのストレートと、この変化球で里は200もの三振数を積んできたのだ。

 比較する対象とは言えるかわからないが、打者でも男子顔負けの数字を残す選手がいる。2010年に668打席613打数214安打という当時のNPB最多安打記録を達成した元阪神のマートン。昨年の女子プロ野球リーグ首位打者の兵庫ディオーネ大山の昨年の打撃成績は189打席162打数66安打。これをマートンの打数に置き換えると249安打したことになる。また、2014年の京都フローラ三浦も、年間32試合120打席104打数で52安打。こちらもマートンに置き換えると613打数で300安打を超える数字となる。

 こんな男子顔負けの女子たちが熱い戦いを繰り広げる女子プロ野球。里は「本当にみんな野球が大好きで、見に来てくれたら本当に楽しんでもらえると思います。野球は男子だけのものじゃないですから」と話す。9日に行われた埼玉対京都(川口市営球場)には2088人ものファンが詰めかけた。今、女子野球が熱い。
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