柳田の連続四球は「日本記録タイ」でストップ
ソフトバンク・柳田悠岐の日本記録への挑戦が終わった。
開幕から18試合連続で四球を選び、王貞治氏が持つ日本記録に並んでいた男は、記録更新がかかった20日のロッテ戦で安打こそ1本放つも、四球はなし。4打数1安打、1得点の1三振。連続四球は18試合でストップした。
もっとも、本人は記録に関してさほど関心は示しておらず、最終打席も持ち味でもある“積極性”を発揮して初球打ちの安打。むしろ、これから記録に関して聞かれなくなることを喜んだ。
四球とは、強打者の勲章である。かつての王さんもそうだったように、柳田ほどの強打者で、そしてあの豪快なフルスイングを見せられては、相手バッテリーはストライクゾーンに投げることさえ躊躇してしまう。
いかにボール球を振らせるか。たとえストライクゾーンで勝負しても、「頼むから打ち損じてくれ…!」そんな捕手の声が聞こえそうなほど、バッテリーは神経を使わなければいけない状況にあるのだ。
柳田が見せた進化
15日の楽天戦。楽天の先発は、開幕から3連勝&3連続2ケタ奪三振という史上初の偉業を成し遂げた則本昂大だった。
開幕から勢いに乗る則本に対し、初回の第1打席と6回の第3打席はいずれも三振に倒れたが、そんな相手から四球を取った第2打席を振り返りたい。
0-0で迎えた4回、二死一塁で回ってきた打席。一塁は空いている。それでも、次打者は4番の内川。通常なら内川がよほどの不振に陥ってない限り、柳田勝負が定石。則本-嶋のバッテリーもその選択をした。
フルカウントまで持ちこむと、則本が最後に投じたのは内角低めのストレート。ギリギリの素晴らしいボールだったが、打ち気満々だった柳田はこのボールをしっかりと見極め、四球を選んだ。
普通のバッターなら、手が出ていただろう。しかし、柳田はこのボールを見極めた。積極的に振っていくバッターでありながら、しっかりとボールを選べる。柳田の進化を感じた打席であった。
“バットを振らない”という強み
柳田の進化がよく表れているのが、1シーズンで獲得した四球数の推移。それをまとめたものがこちら。
【柳田の四球数の推移】
2011年 0個
2012年 10個
2013年 32個
2014年 72個
2015年 88個
年々バッテリーの警戒が強まっているというのもあるが、それ以上に柳田の選球眼が向上していることが分かる。
ある球団関係者はこう話す。「柳田ほどの長距離バッターは、打ちたくて仕方ないんだ。外国人選手を見ても分かると思うが、多少のボール球でも強引に振ってくる。だけど、そこが柳田の凄いところ。バットを振らないことも、強打者には大事なんだ」。
相手バッテリーが逃げての四球も、もちろんある。だが、我慢して選ぶ四球にこそ価値がある。
ちなみに、柳田がプロで初めて出塁したのも四球。2012年、相手は日本ハムの斎藤佑樹だった。