◆ 内野の要がゲームを締めた
1点を争う緊迫したゲーム展開こそ、守る意識が重要になる。その姿を体現しているのがプロ10年目の京田陽太。「1つのアウトで投手の人生が変わる」という強い責任感と日々の鍛錬が、チームを支えている。
4日1-0で阪神に勝ち切ったDeNA。ロースコアゲームの予想通り、3回までお互い0行進の中、4回先頭の佐藤輝明の強烈な打球を、京田は横っ飛びでアウトを取った。
ベイスターズらしい大胆なシフトのなか、ほぼセカンドの位置でのファインプレー。
「ちょっと正面になるんで打球の見えづらさはありますけどね。ベイスターズはすごい大胆なシフトを敷くので、ああいう練習もキャンプからやってきましたし。あとはバッテリーの兼ね合いで、配球とかも色々見ながら守ってる中で、いいところに来たっていうだけです」。さらりと言ってのけるが、日頃の準備が、あの瞬間の素早い一歩目を生み出したのだ。
もう1つの好プレーはまさに執念と咄嗟の反応が生んだ神業だった。一打逆転の9回2死2-3塁。代打ガルシアの打球は、打球を取りに行った瞬間、跳ね上がったイレギュラーバウンドに対し、京田は身体でボールに向かっていき、チームのピンチを救いゲームを締めた。
「正直びっくりしました。まず捕ることに精一杯だったんで。うまく反応できたことがよかったな。まずその打球にすぐさま取りに行ったんで。ほんとに危機一髪というか、たまたまいいところに収まってくれてよかったです」。
なんとかグラブに収まったボールを素早くファーストへ。「いま思うと、あれを弾いてたらって思うとぞっとするくらいです。本当に体に収まってくれたことで、送球に行けましたからね。コースだけ外さないように。高さはちょっと高かったですけど、ラインだけずらさないようには意識しました」
横には逸らしてはいけない。体制を崩しながらも瞬時の判断で、悪送球のリスクを最小限に抑えアウトをもぎ取る姿勢に、高いプロ意識が溢れていた。
◆ 指揮官も絶対の信頼
相川亮二監督も、京田のプレーに賛辞を送る。「本当にどんな時も、どんな状況になっても、彼は毎日早出をして気持ちを入れながらここまでやってきてますし、そういう姿がキャンプの時からずっとあって。良いプレーをしても不思議ではないです」
内野守備を担当する藤田一也コーチも異口同音に京田を称賛する。「もうあれは根性。でもその根性は練習の量。怪我してしまったけど、そこからリハビリしてしっかり治して上がってきて、若手と競争して自分の地位を築いているんですからね」
酷暑が続く中、体調と相談しながらも、一球一球に魂を込めてノックを受け続ける京田の姿勢をチーム全体が見つめている。
「僕たちの1つのプレーでピッチャーの人生が変わってしまう。僕も自分のミスでピッチャーの勝ちを消したことがたくさんあるからこそ、責任を持って練習しています。ピッチャーも僕たちの練習姿を見ているはず。適当には絶対にできないです」。
マウンドで孤軍奮闘する投手の人生を背負って守備に就く。リハビリ期間中に支えてくれたトレーナーやコーチ陣への感謝を忘れず、ファームで熱く闘う若手たちの姿にも刺激を受けながら、再び帰ってきた一軍の舞台。
「やっぱり守り勝っていかないとなかなか上位には食い込めないと思います。今日みたいな緊迫したゲームをなんとか勝ち切っていければ、きっと順位上がってくると思うので。チームの勢いはいいんで、乗り遅れずに食らいついてやっていければなと思います」
発言一つひとつに込められた熱意と責任感。京田陽太の存在は、横浜に欠かせない。
取材・文 / 萩原孝弘