ホークスを支える守備・走塁のスペシャリスト
3年連続日本一の偉業を狙うソフトバンク。今年も7割前後の勝率で勝ち進み、早くも独走モードに入ろうとしている。
投打に豊富なタレントを擁し、球界屈指の選手層を誇るチームの中で、今や欠かせない存在となりつつある男がいる。プロ13年目の30歳・城所龍磨である。
岐阜・中京高時代に2年夏、3年春と2度に渡って甲子園に出場。俊足巧打の外野手として注目を浴び、2003年のドラフト2位でダイエー(現ソフトバンク)から指名を受けた。
プロ1年目は二軍で経験を積み、2年目の2005年には早くも一軍デビュー。しかし、9月のウエスタンリーグの試合で頭部に死球を受け、側頭部を骨折するなどの不運もあって、1試合のみの出場。打席には立てなかった。
転機となったのはプロ6年目の2009年。その俊足を買われ、代走要因として一軍に定着。終盤の守備固めとしても欠かせない存在となり、91試合に出場する。
2010年には2ケタ・12盗塁をマークし、2011年には自己最多の108試合に出場。守備・走塁のスペシャリストとしてチームのリーグ連覇に貢献。
決してレギュラーではないながらも抜群の存在感を発揮し、ついには個人の応援グッズが球団から販売されるようになるなど、チーム内の地位を築いていった。
脇役から主役へ!
どちらかと言えば“名脇役”タイプだった男。そんな城所が、今シーズンは主役の座をつかむ勢いを見せている。
スタートは代走や守備固めでの起用となったものの、5月18日の日本ハム戦で“代打”として登場すると、実に9年ぶりとなるプロ第2号の一発。ベンチの期待以上の結果を出し、チームを勝利に導いた。
スタメン出場のチャンスを増やすと、攻守で躍動。圧巻だったのは5月29日のロッテ戦。同点の8回、一死一塁からデスパイネが放った右中間への大飛球をダイビングキャッチ。抜けていれば勝ち越しを許していたところで、見事にそれを阻止した。
結局その試合は9回に松田の本塁打で勝ち越したソフトバンクが勝利を収め、城所の超ビッグプレーは勝利に繋がったプレーとして大きく取り上げられた。
打つ方でも、6月に入って3日の広島戦ではキャリアハイとなるシーズン2本目の本塁打を放つと、7日のDeNA戦では1試合4安打の固め打ち。まさに攻守で欠かせない存在となっている。
度重なる故障で1試合の出場に留まった昨年の悔しさをバネに、13年目の飛躍を見せているスペシャリスト。長らく縁の下を支えてきた男が主役となり、チームを日本一3連覇へ向けて加速させる。