ニュース 2016.07.01. 17:00

プロ野球・前半戦で生まれた「新語・流行語」を振り返る

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前半戦、物議を醸した「コリジョンルール」(C)KYODO NEWS IMAGES 

上半期生まれた球界の新語・流行語


 昨年、プロ野球界で話題を席巻した「トリプルスリー」というワード。同一シーズンで「打率3割・本塁打30本・盗塁30個」を達成するという偉業を、ヤクルトの山田哲人とソフトバンクの柳田悠岐が達成した。

 このワードは球界を飛び出し、毎年恒例の「ユーキャン新語・流行語大賞」にて年間大賞を受賞。その年を表す言葉のひとつとして認定されるまでになった。

 過去には1999年に「リベンジ」(松坂大輔)と「雑草魂」(上原浩治)がW受賞を果たしたのをはじめ、「ハマの大魔神」や「NOMO」、「イチロー(効果)」などなど、様々な流行語が野球界から輩出されてきた歴史がある。

 そこで、今回は上半期が終わった今年ここまでを振り返り、野球界で生まれた新語や流行語、注目ワードをピックアップ。果たして、本家の「流行語大賞」に引っかかるワードはあるのか。“言葉”でプロ野球の前半戦を振り返る。


「超変革」


 金本知憲新監督のもと、新たな一歩を踏み出した新生・阪神が掲げたスローガンが「超変革」だ。

 象徴的なのが、開幕戦の「1番・高山、2番・横田」というフレッシュな1・2番コンビだろう。これまで補強に頼りがちだった部分を見直し、とにかく若い選手を積極的に起用。くすぶっていた北條史也や原口文仁といったところの台頭を促した。

 ただし、チャンスを得ながらも掴みきれずに落ちていった選手たちがいることも事実。「超変革」が実を結ぶその日まで、金本監督と阪神ファンの“我慢の戦い”は続いていきそうだ。


「コリジョンルール」


 前半戦を振り返るうえで、外せないのがこの「コリジョンルール」だろう。今年から導入された新ルールは、各所で大きな混乱と議論を呼んだ。

 ざっくり言うと、クロスプレーでの接触によるケガをなくすためのルール。危険なタックルから捕手を守るべく、メジャーで前年に取り入れられたものが日本でも導入される運びとなった。

 ところが、この「コリジョンルール」と、新ルール導入にあわせて施行された「リプレイ検証の範囲拡大」が、多くのファンの混乱を呼ぶ。

 前半戦だけでも、1点を巡る判定が覆るというシーンが何度も見られ、6月14日の広島-西武戦では、アウトの判定が「コリジョンルール」の適用によって覆り、広島がサヨナラ勝ちを収めるという通称“サヨナラコリジョン”というケースまで登場。

 さらに17日の阪神-ソフトバンク戦では、福留がサヨナラ安打を放つも、ホームのクロスプレーを巡ってリプレイ検証へ。数分間の沈黙の後、ホームインが認められてようやくサヨナラが成立、などというシーンもあった。

 メジャーのチャレンジ制度のような取り決めがないため、もはや際どいプレーは攻撃側の“行ったもん勝ち”になってしまっている点や、野球で一番盛り上がるはずの得点シーンが一時停止されてしまうことへのモヤモヤ感、さらには審判によって説明の範囲が違うことなどなど、これまでに多くの問題点が噴出。ついにはシーズン中にも関わらず、ルールの見直しも決定した。

 目指していた「捕手を守る」という点では効果が現れているものの、野球そのものの魅力が削られてしまっているのは大問題。見直しにより、後半戦からモヤモヤが解消されることを切に願う。


「バファローズポンタ」


 今年の球界に現れた人気者。Twitterで人気が爆発し、オリックス以外のファンからも愛される存在となっている。

 ポンタといえば、ローソンなどで利用できる共通ポイントサービス「Ponta」のキャラクター。「バファローズポンタ」は4月8日に突如としてTwitter上に出現し、帽子とユニフォームを身につけてオリックスを応援。試合後、結果とともにつぶやかれる画像がかわいいと話題になり、一気に人気に火がついた。

 主に試合前と試合後に結果を知らせるツイートがメインながら、フォロワー数は1日の16時30分時点で133,941人を数える。本家のポンタが2011年からの登録でフォロワー数138,269人なのを考えても、その人気のスゴさがお分かりいただけるだろう。

 試合後のつぶやきに関しては、「リツイート」や「いいね!」の数が1万を超えることもしばしば。球界にとどまらず、上半期の日本で最も火がついたTwitterアカウントと言っても過言ではない。


「リアル二刀流」


 日本ハムの大谷翔平が、新たな挑戦に乗り出した。

 5月29日の楽天戦。日本ハムはDHを「放棄」し、大谷を「6番・投手」として起用する。これまで西武が日本シリーズでの戦いを見越し、シーズン終盤に「DH放棄」を行ったことはあったものの、投手の打撃に期待して指名打者を使わないとしたのはこれが初めてのことだった。

 ちなみに大谷はこの試合で投げては7回1失点の好投、打っても3安打猛打賞という大暴れ。無謀な挑戦ではないことを自らの実力によって証明している。

 ただし、冷静に考えてみると、二刀流にリアルとつけることには違和感もある。“リアル”な“二刀流”とは一体どんな状態なのか、もしそれを使えるとしたら宮本武蔵くらいのものなのではないかという疑問もあるが、今ではこの「リアル二刀流」起用が珍しいことではなくなり、広く使われるようになってきている。


「神ってる」


 最後は好調・広島から誕生したフレーズ。

 6月17日と18日のオリックス戦で2試合連続サヨナラ弾を放った鈴木誠也を、緒方孝市監督がこう評した。

 勢いに乗った広島はそのまま連勝を11に伸ばすなど、快進撃で2位とのゲーム差を9まで拡大。独走状態に入りつつある。

 25年ぶり優勝へ、「神ってる」広島はこのまま逃げ切るのか。後半戦最大の注目ポイントになる。
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