昨年の流行語大賞といえば...
42試合で打率.342、12本塁打、10盗塁…。今季ここまでヤクルトの山田哲人が残している成績だ。
2015年の新語・流行語大賞で年間大賞にも選ばれた「トリプルスリー(3割30本30盗塁)」の2年連続達成が早くも現実味を帯びている。
実は、野球界から同大賞に選ばれたのは16年ぶりのことだった。
年間大賞が選定されるようになった1991年以降、90年代には「イチロー(効果)」(1994年)、「NOMO」(1995年)、「メークドラマ」(1996年)、「ハマの大魔神」(1998年)といった7つものことばが野球界から生まれた。
しかし、1999年の「リベンジ」と「雑草魂」(※受賞者はそれぞれ松坂大輔と上原浩治)を最後に、昨年の「トリプルスリー」まで野球界から年間大賞に選ばれる言葉はなかったのだ。
今年も山田哲人に期待?
何かと議論もある新語・流行語大賞ではあるが、「トリプルスリー」の選出が野球界にもたらした効果や好影響は少なくなかったのではないだろうか。そこで、まだ半年以上も先の話にはなるが、今年の流行語になり得るワードは野球界から生まれるか、いくつか候補を探ってみた。
まず、今年の野球界で最も耳にすることばといえば、「コリジョンルール」ではないだろうか。
今季から公認野球規則に追加された、本塁での危険な衝突を避けるための規定。これが何かと波紋を呼んでおり、各メディアで言及される機会は多い。ただあまりポジティブなイメージはなく、大賞を獲得するほどのインパクトには欠ける。
新語という意味合いでは、今後のペナントレースの動向や監督・選手などの発言から新たなことばが生まれる可能性も秘めている。
たとえば先述した山田哲人は、トリプルスリーはもちろん、三冠王も視界に入ってくるだろう。さらに盗塁王も加えた四冠王も狙える勢いだ。
達成すればもちろん史上初。四冠王は英語で「quadruple crown(クワドルプルクラウン)」。聞きなれない単語ではあるが、略して「クワッドクラウン」なら“新語”として定着してもおかしくない。
さらに、セ・リーグでは複数選手が打率、本塁打、打点部門でハイレベルな争いをしているのも注目ポイント。
山田以外には同僚のバレンティン、坂本勇人(巨人)、エルドレッド(広島)、ビシエド(中日)の5人が主要打撃3部門で上位10傑に名を連ねており、シーズン終盤まで「三冠王レース(トリプルクラウンレース)」が展開されれば、こちらもインパクトがありそうだ。
首位打者争いや本塁打王争いは毎年のように聞かれるが、これだけの人数による“トリプルクラウンレース”ともなれば前代未聞。新語や流行語はふとしたきっかけで生まれることもある。半年後、野球界からどういったことばが候補として並んでいるのか。今からたのしみだ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)