近年増えているNPBに復帰する外国人選手
オリックスが今季も低迷している。
開幕当初の不調からは脱した感があるものの、未だチーム打率、防御率はともにリーグワーストと波に乗れていない。そんな中、新外国人選手として2013年に中日でプレーしたマット・クラークとの契約合意が報じられた。
シーズン途中に新外国人を獲得することは珍しいことではないが、近年目立つのは日本球界に所属していた経験を持つ選手を獲得するというケースだ。
オリックスの場合、2010年の6月にフェルナンド・セギノールを獲得している。
セギノールは2002年のオリックスから日本でのキャリアをスタートし、2004年から4年間は日本ハム、2008年から2年間を楽天で過ごした。そこから8年ぶりのオリックス復帰となったが、11試合の出場で打率.189、0本塁打と期待に応えられずに終わっている。
2012年5月には、前年に日本ハムでプレーしたボビー・スケールズを獲得。こちらは85試合に出場したものの、打率.262、5本塁打、23打点と助っ人としては物足りない成績に終わった。
さらに2013年7月、今度はホセ・フェルナンデスを獲得した。2003年にロッテからNPBのキャリアをスタート。その後は西武、楽天、オリックス、西武、楽天と渡り歩き、またオリックスに復帰。ところが、25試合の出場で打率.188、1本塁打に終わった。
このようにオリックスの場合はことごとく期待外れに終わっているが、日本でのプレー経験がある外国人選手の多くは“慣れ”という点でアドバンテージがある。
球団としてもある程度実力を把握しているため、期待を大きく裏切ることはない。しかし、加齢による衰えや、相手球団が弱点をわかっていることも多いため、救世主のような活躍を見せることも少ない。
今回の補強は福良監督の采配に合う補強なのか?
オリックスが合意したと言われているクラークは、今年の12月で30歳とまだ若い。衰えという点では心配ないだろう。
しかし、中日時代は132試合の出場で打率.238で25本塁打と長打力こそ発揮したものの、130三振と脆さもあった。
また、福良淳一監督の采配を見ていると、どちらかと言えば一発長打よりも、機動力を使った野球を好む傾向にある。足が速いとは言えず、脆さのあるパワーヒッターのクラークが、福良監督の采配に合うかどうかは疑問だ。
そして、外野を守ることもできるが、メインが一塁のクラークが加入することで、一塁や三塁、左翼などポジションが重なるところも多くなる。
福良監督と同じく、機動力を重視する森脇浩司前監督のときも、ブランコや中島宏之といったパワーヒッター系を獲得してくるなど、近年のオリックスの補強傾向には現場の意向がどれだけ反映されているのかと感じることが多い。
ここまでのオリックスの現状を見ると、パワーヒッターよりも先発投手を獲得したほうがいいように思うが…。果たしてクラークの加入が起爆剤となり、逆襲に転じることはできるだろうか。
文=京都純典(みやこ・すみのり)