前半戦の山場のひとつとなる首位決戦
5月10日、本拠地でのロッテ戦に勝利したソフトバンクが連勝を7に伸ばした。
開幕直後こそつまずいた昨季覇者だが、4月9日から8連勝を記録するなど、徐々に本領を発揮。気がつけば独走態勢に入ろうとしている。
その王者を追いかける2位のロッテだが、チームの勢いは対照的だ。5月に入って無敗のソフトバンクに対し、ロッテは3勝5敗と負けが先行。停滞気味な感は否めない。
5月1日にソフトバンクに首位の座を明け渡すと、あっという間に4ゲーム差をつけられてしまった。10日の直接対決第1ラウンドでもバンデンハークを打ち崩すことができず完敗。このままだとパ・リーグの火が消える……というと大袈裟かもしれないが、ソフトバンクがあまりに大差で独走するようだと、ペナントレースの面白みが少なからず奪われてしまうのは事実。そういった意味でも、ロッテは重要なポジションにいる。
そういった意味で、10日から始まった直接対決は前半戦のひとつの山場となる。このままソフトバンクが独走態勢を固めるのか、それともロッテがそれを阻むのか…。きょうからの2試合の結果がペナントレースに大きな影響を及ぼす。
昨年5月は神がかり的に当たっていた清田
ロッテとソフトバンクの対戦成績は、ここまで2勝3敗1分でソフトバンクがリード。4月5日からヤフオクドームで行われた初顔合わせでは、ロッテが2勝1分で勝ち越し。ソフトバンクに今季唯一となる連敗を食らわせたが、前回対戦のQVCマリンで2戦2敗。強力なソフトバンク投手陣の前に、2試合でわずか1得点に抑えられてしまった。
巨大戦力を誇るソフトバンクに打ち勝つには、打撃力のほかに相手投手陣を飲み込んでいく“勢い”のようなものも必要なのかもれしれない。
そう考えた時、伝統的に勢いに乗れば手がつけられないチームといえば、このロッテではないだろうか。現在の主力のなかで、その象徴とも言える選手が清田育宏である。
昨季は序盤で神がかり的に打ちまくり、柳田悠岐(ソフトバンク)や秋山翔吾(西武)らを抑えて首位打者争いをリードしていた。
今季はここまで打率.221と本調子からはほど遠い状態となっているが、5月7日のオリックス戦ではその爆発力が発揮されている。
1点ビハインドで迎えた8回裏、それまで無安打だった清田がソロ本塁打を放ち同点に追いつくと、9回裏にはサヨナラタイムリー。チームに勝利をもたらした。
そんな清田が当たりに当たっていたのが、昨年の5月。月間成績は打率.396で、6本塁打、21打点と驚異的な活躍。昨年5月のいいイメージを取り戻し、再び“5月男”となれるだろうか。
なお、今月は5月27日~29日の交流戦前最後のカードでも、ソフトバンクとの対戦が組まれている。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)