苦しむハムのエース、ここまでわずかに1勝…
日本ハムのエース・大谷翔平の苦しい戦いが続く。
15日、本拠地での西武戦に先発すると、6回までは2失点と力投。自己最速タイとなる162キロを2回記録するなど、力で西武打線を抑えこむ。
ところが球数が120球に到達しようという7回、続投した大谷は四球と失策によりピンチを招くと、ここまで3三振と良いところがなかった相手の主砲・中村剛也に痛恨の被弾。勝ち越しの3ランを浴び、力投から一転終わってみれば6回0/3を5失点でKOとなってしまった。
昨年は最多勝に最高勝率、最優秀防御率と三冠を達成。球界を代表するエースへと成長を遂げた男は、「大学だったら最後の年。やってきたこの3年間の集大成だと思って結果を残したい」と4年目に向けた決意を語っていた。ところが、待っていたのは苦しい戦い。“日本の至宝”は試練の時を迎えている。
先輩ダルビッシュは心配なし「しっかり修正してくるでしょう。」
「納得のいくボールを増やす」。今年、大谷の口からよく聞かれる言葉だ。スピードはたしかに早い。15日の試合でも162キロをマークした。3試合連続の2ケタとなる11奪三振も奪った。それでも自身が“納得の行くボール”ではなかった。
ここ5試合で与四球を3つ以上与えた試合は実に4試合。さらにこの前の試合ではメヒアに、そして昨日の試合では中村に、警戒しなければならない大砲に痛打され、そこから勝ち星を掴み損ねた。勝負どころでの“不注意”から失点してしまうパターンが、4年目の大谷を苦しめている。
それでも、かつて日本ハムで背番号「11」を背負い、エースとして活躍したレンジャーズのダルビッシュ有は、自身のTwitterで大谷の不安に関して一蹴した。
不調の原因について“肉体改造”による体重増がバランスを崩しているといった旨の指摘が挙がる中、ダルビッシュは「“肉体改造”ってフレーズや取り組みが日本人には抵抗があるのでしょうね」と言及。「まぁ誰だって悪いシーズンはありますし、大谷の場合はまだ6月にも入ってないので何が良かった、ダメだったと判断するにはあまりに早すぎると思いますね^^;」と自身の考えを述べる。
つづいて「自分も良くない月がありましたし、彼も毎回しっかり準備する人間ですからしっかり修正してくるでしょう」とし、大谷についてのつぶやきを締めたダルビッシュ。判断するにはまだまだ時期尚早だと先輩は語った。
対照的にバットは好調、どこかでキッカケとなる投球を...
苦しい投球が続く大谷であるが、大谷のコンディションそのものが不調であるとは思えない。なぜなら、バッターとして素晴らしいパフォーマンスを見せているからだ。
打者・大谷はここまで25試合の出場で打率.322、7本塁打、15打点をマーク。昨年70試合で記録した本塁打数(5本)を早くも上回っており、リーグで4番目、チームではレアードに次ぐ2番目という本塁打数を誇る。
もちろん打者としての出場数が増加すれば、その分体にかかってくる負担も増える。そんな中で、今シーズンはここまで全登板で球数が100球を超えており、ここ5試合に至っては平均の投球数が125球を数えるなど、投球でかかる負荷も増えてきている。交代を引っ張ってそのうちに痛打を浴びるというケースが見られるのは、ある意味自然なことなのかもしれない。
それでも、日本ハムとしては打者・大谷も打線に欠かせない戦力であり、投手・大谷もローテーションの柱として欠かせない存在。その両立を成し遂げるべくここまでの3年間を手探りで歩み、それができることも大谷は証明してきた。
期待と注目度の高い選手だけに、ここまでの『1勝4敗、防御率3.34』という数字が“異変”として取り上げられてしまうのも仕方がない。しかし、ダルビッシュ先輩が言ったように、「まだ6月にもなっていない」。まだシーズンははじまったばかりだ。
「集大成」のつもりで挑む4年目のシーズン。いま迎えている試練を乗り越え、またひとつ殻を破った時、大谷翔平という選手は日本に留まらず、世界トップクラスの選手へと成長を遂げていることだろう。