日本プロ野球界で唯一の二刀流
球界でただ一人投手と野手の“二刀流”に挑戦中の大谷翔平(日本ハム)。プロ入り当初は賛否両論の声も多かったが、2年目にNPB史上初となる“10勝&10本塁打”を達成。結果を残し、“二刀流”を反対する声が1年目に比べて少なくなってきた。
プロ4年目を迎える今季は、投手で7試合に登板して、1勝3敗、防御率3.02。昨季は投手三冠に輝き、更なる活躍が期待されたが、今季はここまで投手で思うような結果を残せていない。
一方打者はというと、昨季は打率.202、5本塁打、17打点と低迷したが、今季は開幕から好調だ。野手初出場となった3月29日のオリックス戦で、本塁打を含む2安打5打点の活躍を見せると、3、4月は打率.300、3本塁打、10打点。
5月に入ってからも勢いが止まることなく、4日のソフトバンク戦から4試合連続本塁打中。現在7本塁打と早くも昨季の5本を上回り、14年にマークした10本を前半戦に超えそうな勢いだ。
「投手兼野手」で出場する可能性は…
これだけ打撃が好調だと、1試合に投手と野手の両方を同時にこなす姿を見てみたくなる。パ・リーグは指名打者制を採用しており、“投手兼野手”で出場するためのハードルは高い。だが、野手の故障者が続出した4月に栗山英樹監督は、指名打者制を解除し二刀流で起用するプランについても明かしており、近い将来“二刀流”で出場する日が来てもおかしくない。
野手・大谷がスタメン出場する試合は、基本的に指名打者。では大谷が先発投手を務めた試合で、指名打者を担っているのは誰なのだろうか。今季を見てみると、陽岱鋼と近藤健介が3試合、大嶋匠が1試合となっている。
陽岱鋼は4月9日の楽天戦で左足首を痛めた後、指名打者での出場が続いていたが、5月に入ってからは中堅で先発出場が増えた。捕手登録の近藤は、昨季後半は打撃を活かすため、指名打者で出場していたが、今季は大谷が好調なこともあり外野手でも出場する。そして、大嶋は現在二軍調整中だ。
また、今季指名打者で先発した野手を見ても、大谷が最多の17試合、近藤が10試合、陽岱鋼が9試合、大嶋が1試合となっている。近藤が右翼で固定され、故障に不安を抱える選手がいなければ、大谷が先発する試合、指名打者を解除しても問題はなさそうだ。
ちなみに、プロ3年間で“二刀流”の出場を経験したのは5度。「7番・投手」で出場した13年6月18日の広島戦では、二塁打を放ち打点も記録したが、二刀流で出場した試合の打撃成績は、打率.154(13打数2安打)、0本塁打、1打点。投手成績は、1勝1敗、防御率3.62(27回1/3 自責11)。先発する日は、投手にウエイトを占めることもあり、野手の成績は落ちている。
二刀流はやはり難しい。その一方で交流戦だけでなく、今後パ・リーグの公式戦でも「投手兼野手」で出場する姿を期待するファンは多いだろう。今季中に、パ・リーグの公式戦で「●番・投手大谷」を見ることができるだろうか。