誰もが驚いた大嶋匠のドラフト指名
「まさか指名するとは…」。2011年のドラフト会議でのこと。日本ハムが7位指名した早稲田大・大嶋匠の名前に、他球団スカウトも驚きを隠せなかった。
早稲田大・ソフトボール部の出身。野球とソフトボール……基本動作は似通っているとはいえ、全くの異競技だ。
「日ハムさんのドラフトは、怖いね。何か仕掛けてくるんじゃないかと、今年も不安ですよ」。前出の他球団スカウトが苦笑する。大嶋の指名、そして大谷翔平の強行指名と、その驚きの策略に他球団は舌を巻く。
しかしその大嶋、やはり簡単にはいかなかった。持ち前のセンスで徐々に硬球慣れしていくものの、なかなか結果を出せずにいる。
今年はプロ入り5年目にして初の開幕一軍を手に入れるも、わずか3試合で二軍に降格。ただ、栗山監督が一軍に選出したように、徐々に一軍のレベルまで近づいてきていることは事実。あとはキッカケとなる1本が出るかどうか。今後の活躍に期待が高まる。
今後の“異競技選手”の可能性...
異競技からのプロ野球。誰もが思いつかなかったこの策略に、他球団スカウト陣も興味を抱くようになったという。
例えば、足のスペシャリスト。巨人の鈴木尚広がそうであるように、走りのスペシャリストがベンチにいるだけで他球団は戦々恐々とするものだ。
そこで、まるで現実味はないのだが、例えば100m走で日本歴代2位の記録を持つ東洋大の桐生祥秀が、球界に殴り込みをかけにきたら……。「足専門」の役割となるが、その走りはダイヤモンドの中でも通用するのかどうか。“走塁”見たさに大勢のファンが集まるだろうし、そのドキドキ感といったら想像もつかない。
ほかにも陸上の槍投げや、水球、ハンドボールのなどなど...。強靭な“肩”を持つスポーツ選手に硬球を握らせたら、いったいどのくらいの速球が投げられるのだろうか。こちらも全く現実味はないが、“可能性”はあるのかもしれない。
また、大嶋が切り開いた道に続くソフトボール選手や、軟式野球からも今後プロ野球選手が出てくるという可能性も十分にある。
「登録選手数の問題とかあるからかなり難しいとは思う。だけど、足のスペシャリストとかは“アリ”かもね」とは、前出のスカウトのことば。“異色なプロ野球選手”の誕生に期待してしまう。