話題を読んだ「挑発ポスター」
春の東京六大学リーグ戦開幕前、リーグ戦を盛り上げるための告知ポスターが話題を呼んだ。
・「おぼっちゃまは強いよ。心の余裕が違うからね。」(慶応大)
各大学の主将がポスターに登場し、他大学を挑発するキャッチーかつユーモアなフレーズが並ぶ。
リーグ戦開幕後には対戦カードごとにそのフレーズが変わり、選手だけでなく応援団やチアリーダーも登場する多種多様なものになっている。リーグ創設約90年の歴史を誇る東京六大学野球にあって、今までになかった革新的な取り組みと言える。
その先駆けとなったのが、昨年の「早慶戦ポスター」だった。両大学から選手、応援団、チアリーダー、吹奏楽、応援マスコットと5パターンが製作され、互いを挑発する構図となっていた。
中でもチアリーダー版は、「ハンカチ以来、パッとしないわね、早稲田さん」(慶応大)。「ビリギャルって言葉がお似合いよ、慶應さん」(早稲田大)などと、両大学の特色をフレーズにちりばめており、大学野球ファン以外にも大きな反響を呼んだ。
果たして今年はどんな煽りが繰り広げられるのか…。今から楽しみだ。
プロ野球でも…?
プロ野球で「挑発ポスター」といえば、ロッテがまず頭に浮かぶ。
2004年に起こった球界再編問題。近鉄が消滅し、新球団・楽天が誕生した。その翌年、ロッテはその楽天を本拠地・千葉に迎えて開幕戦を行う。
大きな注目が集まる中、ロッテが仕掛けたのが今までになかった「挑発ポスター」だった。
「パ・リーグの主役、3月までご苦労さまでした。」
「ささやかですが、黒星をプレゼントさせていただきます。」
千葉マリンスタジアム(現QVCマリン)の最寄り駅・海浜幕張駅にウィットのあるフレーズが並んだポスターが掲示され、開幕カードを大いに盛り上げた。
ファンから支持を受けた球団は、さらに仕掛けていく。この年からスタートした交流戦でも、ボビー・バレンタイン監督(当時)が風刺の効いた一言をつぶやくポスターを制作。この効果もあって(!?)ロッテは交流戦を制覇。そのまま31年ぶりの日本一まで駆け上っていった。
以降、ロッテは相手を煽る「挑発ポスター」の制作を続け、“挑発ポスター=ロッテ”とプロ野球ファンの中で認知されていく。
2011年には東日本大震災が発生し、3月25日に予定されていた開幕戦が4月12日に延期された。この年、ロッテが開幕カードで対戦したのが、被災地である仙台を本拠地とする楽天。この時の開幕用ポスターは「東北の底力を、僕たちはイヤと言うほど知っている。」「パ・リーグはひとつのチームだ。ともに戦おう、みんなのために。」と楽天へのエールだけでなく、パ・リーグ全体を盛り上げようという力強いメッセージが込められていた。
少し先の話になるが、5月31日からは交流戦が始まる。昨年の交流戦ポスターはプロレスをテーマにしたものだった。今年の交流戦、ロッテはどんな“仕掛け”を見せてくれるのか。今から楽しみだ。