近い将来ロッテのエースになれる逸材
開幕から好調をキープし、12勝9敗1分でパ・リーグ2位のロッテ。リーグ2位のチーム防御率3.39と投手陣の奮闘が目立っている。なかでもリリーフ陣の活躍が素晴らしい。内竜也、益田直也は9試合に登板し、まだ1点も許していない。8試合に登板している松永昂大は1失点(自責は0)で、クローザーの西野勇士も2年ぶりのセーブ失敗となった17日の日本ハム戦での1失点だけである。リリーフ陣の防御率はリーグダントツの1.70とほぼ完璧だ。
一方、先発陣の防御率はリーグ5位の4.28とリリーフ陣と比べかなり安定感に欠ける。エース涌井秀章が4戦4勝とさすがの働きを見せ、ソフトバンクから移籍してきたスタンリッジは1勝ながら防御率2.25と先発の役割は果たしている。石川歩が寝違えでローテーションから外れている影響もあるだろうが、頼りになる先発投手がもうひとりほしいところだ。
その候補になりそうなのが、高卒3年目の二木康太である。ロッテファン以外にはまだ馴染みのない選手かもしれないが、近い将来ロッテのエースになれる素質がある選手だ。
2013年のドラフト6位でロッテから指名を受けた二木は、プロ1年目の2014年は二軍で2試合の登板にとどまった。2年目の昨季は二軍での登板機会が増え、6月以降は二軍の先発ローテーションの一角を担う。8月15日、イースタン・リーグの楽天戦では9回1アウトまでノーヒットに抑える快投を見せたこともある。シーズン終盤の10月1日の日本ハム戦で3回から2番手として一軍初登板を果たし、5回を1失点と好投した。
3年目の今季は春のキャンプからアピールし、3月30日の楽天戦でプロ初先発。5回途中3失点で負け投手となり、続く4月5日のソフトバンク戦でも4回途中3失点と先発の役割を果たせなかった。しかし、今季3試合目の登板となった12日の楽天戦で、二木は見違えるピッチングを見せた。8安打を許したものの、6奪三振1与四死球で失点は1。プロ初勝利を初完投で飾ったのである。
ゴロを打たせる投球を磨き一軍のローテに定着を
二木の最大の特長は、187センチの長身からスリークォーターに近い腕の振りで投げるストレートだ。150キロに迫るようなスピードはないが、ベースの上での伸びがあり、スピードガンの表示以上に速く感じるタイプ。変化球は主にカーブ、スライダー、フォークの3種類。それらを低めに集めて打者を打ち取る。長身で細身、速球の質やピッチングスタイルは、現在シアトル・マリナーズで活躍している岩隈久志と重なる部分も多い。
昨季、二木の二軍での投球内容を見ると、アウトの内訳が三振64、内野ゴロ105、内野フライ26、外野フライ68。ゴロアウトが105に対し、フライアウトは94と数字のうえではゴロを打たせる投球に長けていた。
今季ここまでの一軍でのアウトの内訳は、三振16、内野ゴロ24、内野フライ3、外野フライ22と若干フライアウトは多いものの、ゴロを打たせる投球ができている。ゴロを打たせる投球を磨いていけば、きっと先発ローテーションの一角を担えるはずだ。
ロッテのリーグ10勝一番乗りは前回日本一となった2010年以来6年ぶりのこと。ロッテの日本一は1950年、1974年、2005年、2010年の4度あるが、1950年と2005年もリーグ10勝一番乗りを記録していて、前後期制だった1974年も前期に限れば10勝一番乗りだった。このデータを見れば今年も……と期待したくなるが、そのためにも二木ら若い投手がどれだけ台頭するかがカギを握っているのではないだろうか。
文=京都純典(みやこ・すみのり)