「迷ったら前に進め」――
海外FA権を行使していた岸孝之の楽天入りが決定。18日には仙台で入団会見が行われ、星野仙一副会長、立花陽三社長とともに出席した。
まずはこれまでを振り返り、「すごく悩んで、悩んで決断して、今この日が迎えられていることにホッとしている」と率直な感想を吐露した岸。移籍の決め手については、「東北、仙台を盛り上げたい」というポイントを挙げる。
宮城県の出身で、地元の名取北高から東北学院大を経てのプロ入り。「野球を始めた仙台で、そこからプロに入るまでたくさんの人にお世話になったし、支えられてここまで来れた。そういう人たちに成長した姿を見せたかった。そして地元に恩返しがしたいと思った」と決断に至った経緯を語った。
また、星野副会長のことばも、岸の背中を後押ししたという。
「『迷ったら前に進め』ということばを聞いた時に、そうだなとすごく思いましたし、それで自分も前に進めたかなと思います」と岸。「悩むところも多かったと思うけど、とにかく熱さは負けないように伝えた」と副会長の押しの一手が効いたようだ。
同席した立花社長も、「この地元・仙台から生まれたスーパースター。うちのユニフォームを着て戦ってくれることを望んでいたし、地元の方からもそういった声を多く頂いていた」と獲得の喜びを語る。
2013年の日本一以降、苦しい戦いが続く楽天。それだけに、今オフの目玉を手に入れて迎える来季へ向けての期待も高い。
“日本一奪還”はチームの共通目標。岸自身も「もちろんそれをしないと、地元に帰ってきた意味がないと思っているので。皆さんの期待に応えられるように精一杯やりたい」と意気込みを語った。
「僕が投げて勝つことによって、みなさんに笑顔になって欲しい。見に来てよかった、たのしかったと思ってもらえるように、勝利に貢献したいと思っています」。
故郷に帰ってくるエースは、静かに闘志を燃やしている。