14年は40試合登板、26歳の右腕
オリックスは16日、阪神にFA移籍した糸井嘉男外野手の人的補償として、金田和之投手を獲得したと発表した。
金田は大阪学院大から12年ドラフト5位で阪神に入団。140キロ後半の直球と落差のあるフォークを軸に、14年には先発2試合、救援38試合の計40試合に登板し、5勝1敗、防御率3.61の成績を残した。
昨季は10試合登板で1勝、今季も6試合登板で1勝止まりと伸び悩んでいるが、環境が変わるとこで再生するかもしれない。その根拠は阪神、オリックスの球団環境ではなく、セ・リーグとパ・リーグの違いにある。
阪神時代の金田は制球に苦しむケースが多く、今季就任した金本監督からは「淡々としていて伝わるものがない」と叱咤されることもあった。しかし、それこそ金田の長所。和田政権時の14年はビハインドの場面でも淡々と投げ、便利屋としての立ち位置ながらも、たちまち5連勝を記録した。
この年、最も輝いていたのが優勝争いを展開していた8月だ。21日の中日戦ではプロ初先発のマウンドへ上がり、5回2失点で4勝目をマーク。同27日の巨人戦は再び1イニングの救援登板で5勝目を挙げると、同30日のヤクルト戦はわずか中2日で再び先発。この試合は5回2失点でプロ初黒星を喫したが、ローテーションの谷間かつ中2日という厳しい状況で、タフな一面を首脳陣にアピールした。
2014年は40試合に登板し、先発2試合があったとはいえ、計62回1/3を消化した。これはメッセンジャー、能見、藤浪、岩田、岩崎の先発陣、そして守護神としてセーブ王に輝いた呉昇桓に次ぐチーム7番目の数字。勝ちパターンだった福原、安藤よりもイニング数は多かった。
指名打者制のパ、ロングリリーフで適正発揮!?
セ・リーグは指名打者制がないため、投手も打席に立つ。さらに救援投手の場合は高確率で代打が送られるため、それが投手交代の契機ともなる。
ただし指名打者制があるパ・リーグはその心配がない。阪神時代の金田は敗戦処理に近い試合序盤での登板も多く、調子が良い試合でも、反撃のために打順が巡ってきたところで降板を余儀なくされた。それがパ・リーグだと「調子がいいから行けるところまで」となり、先発適性もある金田のようなタイプはより生きる。
今季のオリックスは先発防御率がリーグワーストの4.29で、先発投手陣の早期降板が目立った。救援防御率も勝ちパターンとして期待されていたコーディエ、佐藤達らの不調が響き同5位の3.95。投手陣全体の整備は急務だ。
金田自身もこのまま便利屋として終わるつもりはないだろうが、現状のスタイルでも阪神よりオリックスの方が活躍の場は多いと見る。それは球団というよりも、リーグの違いが大きい。両球団の評価にズレが生じるのも当然だ。