後半戦エース級のはたらき
広島が単騎独走状態のセ・リーグ。優勝マジックは「26」、2位・阪神との差は10.5ゲームまで空いた。
その分、熾烈になっているのが2位の座を巡る争いだ。阪神と3位・DeNAの差は「1.5」と接近。今度こそ虎のしっぽを掴んで引きずりの降ろすことができるだろうか。
雨天中止を挟んで連勝中のDeNAは、17日の中日戦で約3週間ぶりの3連勝を目指す。その大事な一戦で先発マウンドに登るのが、2年目の今永昇太だ。
今季はここまで9勝5敗、防御率はリーグ4位の2.66と安定した投球が光る左腕。特にオールスター明けから目下4連勝中で、期間中の防御率は1.37と抜群の安定感。後半戦はエース級のはたらきを見せている。
好調の大きな要因となっているのが、『制球力の安定』だろう。6月までの与四死球率は4.2(73.1回・四死球34)と“荒れ気味”だったが、それが7月以降は2.3(38.1回・四死球10)と大幅に改善。もはや別人のような制球力だ。
また、ここ4戦は7・8・8・9とイニング以上の奪三振を記録しているのも良い傾向。無駄な走者を出さず、最も安全な方法でアウトを奪う。リーグの中でも屈指のアンヒッタブルな投手となっている。
左腕に泣き続けたチーム
ルーキーイヤーの昨季は8勝を挙げる活躍も、規定投球回には届かず。スタミナ面に課題を残した今永。
しかし、今季はすでに昨季を上回る9勝目を挙げており、2ケタ勝利にリーチ。規定投球回もあと30イニングちょっとで手が届くところまで来ている。
また、2年目左腕にはある記録もかかる。もし2ケタ・10勝目を挙げれば、球団の左腕としては2005年の土肥義弘氏以来で実に12年ぶり。生え抜き左腕に限れば、2002年の吉見祐治氏以来のことになる。『DeNA』となってからは初めてなのだ。
大洋時代を含めても、右投手に比べて左投手で苦しんできたチーム。例えば、通算201勝の平松政次氏や、同193勝の秋山登氏といった球団のレジェンドはそろって右投手。近年でも“ハマの番長”こと三浦大輔氏や、“大魔神”佐々木主浩氏といった中心選手はいずれも右投げだった。
通算100勝を超える左投手はというと、野村弘樹氏の一人しかいない。1988年から2002年までの15年間で通算101勝をマークした左のエース。そんな野村氏を超え、球団史上最強左腕へ…。今永にかかる期待は大きい。
また、今季は今永以外にも2ケタ勝利の可能性を持つ左腕がいる。ルーキーの浜口遥大だ。
ドラ1左腕はここまで7勝(4敗)を挙げ、残り1カ月半で3勝を挙げれば2ケタ到達。十分に達成可能な数字だろう。もしも左腕2人が同一シーズンに2ケタ勝利を記録となれば、野村弘樹氏(15勝)と岡本透氏(11勝)を擁した1991年以来で球団史上2度目の快挙だ。
まずは球団12年ぶりの記録に王手をかける今永が、17日の試合でどんな投球を見せてくれるのか。ハマの絶好調左腕に注目だ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)