激しいCS圏争いのなかで…
9月に入り、セ・リーグではDeNAと巨人による3位争いが激しさを増している。
先週末に行われた直接対決3連戦は、巨人が2勝1敗と勝ち越し。両者の差は「1.5」まで接近した。ともに残り試合は22。あと2試合の直接対決も含め、Aクラス入りをかけた争いから目が離せない。
そんな中、9月といえばタイトル争いも気になる時期。CS出場権をかけた戦いに負けず劣らずの混戦となっているのが、セ・リーグの首位打者争いである。
【セ・リーグ打率ランキング】
1位 .317 マギー(巨人)
2位 .315 宮崎敏郎(DeNA)
3位 .313 大島洋平(中日)
4位 .310 丸 佳浩(広島)
5位 .306 安部友裕(広島)
6位 .302 坂本勇人(巨人)
7位 .301 ロペス(DeNA)
8位 .300 鈴木誠也(広島)
規定到達の3割打者は上記の8名。現在のトップは打率.317のマギーで、2位は.315の宮崎敏郎。ここでもDeNAと巨人の2チームが火花を散らしているのだ。
さらに3位には.313の大島洋平。右足の骨折で今季中の復帰は絶望的と見られているが、すでに規定打席はクリア済み。ということは、マギーと宮崎が打率を落とし、4位以下の選手の追い上げがなければ、大島が首位打者に輝く可能性も十分にあり得る。
その4位以下も、丸佳浩と安部友裕という広島勢が控えており、そこに続くのが昨季の首位打者・坂本勇人。夏場に入って不調に苦しんでいるが、春先の勢いを取り戻せばライバルたちを一気にごぼう抜きするシーンも考えられるだろう。
そんな彼らにとって共通のハードルとなるのが、3位・大島の存在。驚異的な回復力を発揮しない限り大島の打率は上がることはないが、逆に下がることもない。そのため、首位打者争いに参戦するにはまず大島の打率.313を上回ることが絶対条件になるのだ。
チームの勝利と、個人の栄誉
もうひとつのカギを握る要素といえば、ペナントレース。CS争いとの兼ね合いである。
過去には敬遠合戦や、打率を下げさせないための休養または温存といった選手への“配慮”が見られることも多々あった。
最近では、2015年にロッテの涌井秀章が最多勝をかけて公式戦の最終戦に登板。見事に最多勝のタイトルは獲得したものの、直後のポストシーズンでは登板機会なくチームは敗れ去った。
優先すべきは個人のタイトルか、それともチームの勝利か…。物議を醸したことは記憶に新しい。
最多勝や本塁打王といった積み上げる数字であれば『出場しない』という選択肢は考えづらいが、打率や防御率に関しては相手との兼ね合いでそういった選択も考えられる。
火花散るCS争いの中、激しさを増す個人タイトル争いも最後まで目が離せない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)