並み居る強打者もプロ1年目からの活躍は難しい
昨年のドラフト会議で7球団から1位指名された清宮幸太郎(日本ハム)のほか、安田尚憲(ロッテ)、中村奨成(広島)ら、将来のスラッガー候補として期待されるルーキーたちが注目を集めている。とはいえ、新人野手が1年目からいきなり活躍できるほど甘くないのがプロの世界だ。
では、彼らの“先輩”たちはどうだったのか。長距離砲の象徴はなんといっても本塁打である。現在の球界を代表する日本人スラッガーのプロ初本塁打を振り返ってみよう。
【主な日本人長距離打者のプロ初本塁打】
2010年10月7日 vs.阪神・久保田智之
☆プロ1年目/18歳
・鈴木誠也(広島)
2014年9月25日 vs.ヤクルト・石川雅規
☆プロ2年目/20歳
・柳田悠岐(ソフトバンク)
2012年8月5日 vs.西武・松永浩典
☆プロ2年目/23歳
・中村剛也(西武)
2004年7月24日 vs.近鉄・山村宏樹
☆プロ3年目/20歳
筒香嘉智(DeNA)、鈴木誠也(広島)、柳田悠岐(ソフトバンク)、中村剛也(西武)というそうそうたるメンバーとはいえ、やはりプロ1年目から活躍するというハードルは高い。4人のうち、ルーキーイヤーに初本塁打を記録したのは筒香ただひとりだった。
“初球から思い切り振る”ことが大成への道
筒香のプロ第1号が飛び出したのは、2010年10月7日の阪神戦。シーズン終盤に一軍初出場を果たすも、それまで6打数無安打。7回、先頭で打席に入った筒香は、久保田智之が投じた150キロ直球をフルスイング。乾いた打撃音を残して舞い上がった打球は右中間スタンド中段に飛び込んだ。
広島の若き主砲・鈴木はプロ2年目、2014年9月25日のヤクルト戦で初本塁打を記録した。初回、トップバッターの鈴木は石川雅規の初球、外角高めの直球に反応。弾き返されたライナー性の打球はあっという間に逆方向の右翼スタンドへ着弾した。プロ第1号が初回先頭打者初球本塁打というケースは、セ・リーグ初という快挙であった。
ド派手な初アーチを描いたのは柳田。2012年8月5日の西武戦、負傷した多村仁志に代わり4番として途中出場。その7回、松永浩典のスライダーを一閃。その後、柳田の代名詞となっていくフルスイングから放たれた打球は、広いヤフオクドームの右翼席上段に到達する豪快な一発となった。
最後に、現代最高のホームランアーティストといえば中村。そのプロ第1号は2004年7月24日の近鉄戦。7回、山村宏樹の真ん中高めに浮いた甘い直球を中村は見逃さない。軽く合わせたようなスイングだったが、高々と舞い上がった打球はバックスクリーン右の右中間席に飛び込んだ。この日、中村は2本塁打を記録。早速、のちの代名詞となる“おかわり”を披露するという“らしさ”も見せた。
彼ら4人の初本塁打に共通するのが、全て初球に記録されているという点だ。若手らしく、ミスを恐れず積極果敢に初球から思い切って振る。それこそが、将来、スラッガーとして大成していくために必要なことなのかもしれない。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)