2018.06.24 14:00 | ||||
阪神タイガース | 6 | 終了 | 11 | 広島東洋カープ |
甲子園 |
歴代トップも狙える超高出塁率!
故障から戦列復帰した丸佳浩(広島)が再び規定打席に到達し、セ・リーグの打撃タイトルランキングに変化が起きた。打率こそ.305でリーグ9位にとどまる丸だが、抜きん出た数字をたたき出しているのはその出塁率。「.488」という数字は、2位・坂口智隆(ヤクルト)の「.431」を大きく引き離すぶっちぎりのトップ。まさに、ダントツである。
しかも、現時点では歴代トップの落合博満(ロッテ/1986年)の「.487」をもしのぐ数字だというから恐れ入る。今季の丸の充実ぶりからいくと、30年以上破られていない記録を更新する可能性すら否定できないだろう。現行制度の最高出塁率が打撃タイトルとなったのは1985年から。以下は、その歴代ベスト10である。
【歴代シーズン最高出塁率ベスト10】
2位 .4806:落合博満(ロッテ/85年)
3位 .4805:バース(阪神/86年)
4位 .4728:落合博満(中日/91年)
5位 .4725:小笠原道大(日本ハム/03年)
6位 .4694:柳田悠岐(ソフトバンク/15年)
7位 .4687:ペタジーニ(ヤクルト/99年)
8位 .467 :カブレラ(西武/02年)
9位 .466 :ペタジーニ(ヤクルト/2001年)
10位 .464 :松中信彦(ダイエー/2004年)
落合のほか、球史に名を刻むスラッガーたちを丸が上回ることとなれば、それこそ歴史的なシーズンとなる。
今季の丸は戦線離脱直前までシーズン200四球ペースで四球を積み重ねていたこともあり、1カ月近く戦列を離れていたにもかかわらず、54四球は12球団トップである。49四球でリーグ2位の山田哲人(ヤクルト)が、出場試合数で15、打席数で79も丸を上回ることを考えれば、いかに丸がハイペースで四球を選んでいるかは明白だ。
丸を怖がった阪神が大量失点
これには、もともと定評があった選球眼の良さに加えて、着々と長打力を伸ばしてきたことによって、相手投手が丸との勝負を避けるケースが増加していることも大きく影響しているだろう。数年前までの中距離打者というイメージは薄れ、丸は徐々にスラッガーへと変貌しつつある。
事実、ここまでの長打率.583は、球界を代表する長距離砲である筒香嘉智(DeNA)の.606に次ぐリーグ2位だ。出塁率では丸が筒香を大きく上回るため、メジャーで重視される、出塁率と長打率を合わせたOPSという指標では、筒香をしのいでリーグナンバーワンである。
6月24日の阪神戦でも丸の「怖さ」が得点を生み出した。
6回、一死二塁の場面で打席に立った丸は、フルカウントからの低めのフォークに対して余裕を持って見逃して四球を選び、チャンスを拡大。一挙5点のビッグイニングにつなげた。阪神先発・小野泰己の投球は、単純なコントロールミスではなく、「誘いに乗って振ってくれたらラッキー」というような、ストライクゾーンでの勝負を避けたもののようにも見えた。
1点を勝ち越して迎えた9回、一死一・三塁の場面では、丸への初球で一塁走者・菊池涼介が二盗を決めると、阪神ベンチは当然のように満塁策を選択して丸を敬遠。打席の左右のちがいはあるが、丸を避けて4番・鈴木誠也との勝負を選んだ。結果は、鈴木の満塁弾が飛び出し勝負あり。
この日の丸の打撃成績は3打数ノーヒットで打点もゼロ。しかし、3連戦の第1戦、第2戦で3本のアーチを放っていたこともあって、阪神バッテリーとベンチが丸を警戒した結果の2つの四球が、いずれも大量点につながった。
もちろん、称賛されるべきは鈴木ら勝負を決めた打者だ。しかし、たとえヒットを打てなくても存在感でチームに貢献する――それほどの打者に丸が成長したという証しでもある。
※数字は2018年6月24日修了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)