オリ熱コラム2019 第3回・近藤大亮
2017年は“炎のセットアッパー”として55試合(55.2回)に登板、26HPを記録し、オフには侍ジャパンにも選出された近藤大亮だが、2018年は「このままではいけないと痛感し、進化しなければならないと感じた1年」だったと振り返る。
登板数は昨年並みの52試合(54回)だったが、与四球が昨年の「18」から「27」に増え、HPは半数の「13」に留まった。思うような成績を残せないシーズンを送ったものの、契約更改の席では、「(球団が中継ぎを)どう評価しているのか」を球団に確認している。その真意は何だったのか。
「勝ち試合で投げる投手しか評価しないとなると、そうじゃない投手のモチベーションは上がらない。2018シーズンはオリックスが12球団でトップの防御率(3.69)だった。それはそういった投手も頑張ったからこそ成し得たものだと思うので」
近藤は常日頃から「リリーバーTシャツを作って欲しい」という思いを抱くなど、ブルペンで待機している中継ぎ陣にもっと光が当たるべきだと考えている。特に昨年のオリックスは、完投した投手が2人(山岡泰輔とディクソンが1試合ずつ)だけ。残りの141試合には、必ず中継ぎ投手が起用されていた。
現代では、投手陣の分業制が確立されているとはいえ、先発の完投回数が2試合では、さすがに中継ぎ陣への負担が大きい。特にここ数年は5回をもたずにKOされる投手も多かった。チームが若返りを図るなか、若手にとっての“兄貴分”的な存在である近藤が一石を投じた格好だ。
8回の男として
今年28歳となる近藤は「年齢的にも(チームを)引っ張っていかないといけないと感じています。そのためにはしっかりと結果を残さないと」と決意。秋の高知キャンプも精力的にこなし、シーズン中に感じた課題と向き合っている姿は印象的だった。
昨年は西勇輝と行っていたハワイでの自主トレも、「色々な選手の考え、意識、トレーニングを吸収したい。将来、本当に自分に合ったトレーニングを見つけるためにも、変えてみました」と考え、今年は国内で後輩の山岡泰輔らとともに汗を流した。
昨年は「相手も研究してきているので、2017年のようにうまくはいかなかった。打たれまいと力んで投げてしまった結果、コントロールが定まらなかった」と課題は明確。その一方で「変化球を交えて打ち取ることはできた。スラーブが効果的に決まった」と振り返る。そうなると「課題はやはり、変化球の精度」であり、このオフは抜けることも多かった「フォークに磨きをかけていく」と語っていた。
今年はスラーブに加えてフォークに磨きをかけることで投球の幅を広げ、かつてのような攻めるピッチングスタイルを目指す。今季の目標はキャリアハイの登板数。「60試合は投げたいし、とにかく優勝に貢献したい」と意気込む。ファンに向けても「今年も一緒に戦いましょう!」と共闘を呼び掛ける熱血漢だ。その近藤がファンからサインを求められた際に書く言葉が「闘争心」であり、それこそが若返った今年のオリックスに求められることでもある。
“神童”山本由伸の先発再転向が有力視されているだけに、近藤が勝利の方程式に入って「しっかり結果を出す」ことができるのか、守護神の増井浩俊に繋ぐ“8回の男”という役割を担えるどうかが、今年のオリックスを占う上で重要な1つの指標になるのではないだろうか。
取材・文=どら増田