コラム 2020.05.13. 07:09

「甲子園のヒーロー」が関西の大学リーグに集結! 西日本で注目の“新1年生”

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近江から関西大に進んだ有馬諒選手 [提供=プロアマ野球研究所]

たのしみな“1年生”たち【西日本の大学】


 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、6月8日に開幕予定だった『全日本大学野球選手権』の中止が決まった。

 69回目にして史上初の、苦渋の決断…。春季リーグ戦も中止となるところも出てきており、大学球界にも暗い話題が増えてきているなか、再び日常の光景を取り戻す日に向けて、選手たちによる不断の努力は続いている。

 そんな彼らを応援する意味でも、ここでは全国各地のリーグで華々しいデビューが期待される“1年生”を紹介していきたい。今回は西日本の大学に入学したの新入生たちを取り上げる。


関西No.1の呼び声が高い本格派右腕


 近年は関西の有力選手も東京六大学、東都大学に集まる傾向が強いが、今年は関西の大学に注目の新入生が多く入部した。


 投手で筆頭格と言えるのが、社高のエースとして活躍した藤本竜輝(立命館大/関西学生野球)になるだろう。

 惜しくも甲子園、近畿大会には届かなかったが、関西ではナンバーワンの呼び声高い本格派右腕。3年夏の兵庫大会・3回戦、対須磨友が丘戦では7回参考記録ながら12奪三振でノーヒット・ノーランという快投を見せた。

 少し細身だが、バランスの良いフォームと鋭い腕の振りは一級品で、コンスタントに140キロ台中盤のスピードをマークする。ストレートと同じ軌道から鋭く変化するスライダーも高校生レベルのボールではない。ポジションは違うものの、高校・大学と同じルートでプロ入りした辰己涼介(楽天)のように、3年後には1位指名を目指せるだけの素材である。


 投手で藤本と並ぶ存在と言えるのが、上田大河(大商大高→大阪商業大/関西六大学野球)だ。

 1年夏からマウンドを経験すると、そのまま順調に成長。3年春には夏に全国制覇を達成することになる履正社を相手に2失点完投勝利をマークし、チームを近畿大会出場に導いた。春の府大会決勝で右手に打球を受けて負傷した影響で近畿大会はリリーフでの登板となったが、それでも最速144キロをマークし、見事なピッチングを見せている。

 堂々とした体格で姿勢が良く、マウンドで大きく見えるのが長所。ゆったりとしたフォームで高い位置から腕が振れ、ボールの角度も素晴らしいものがある。大西広樹(ヤクルト4位)、橋本侑樹(中日2位)とチームを牽引してきた投手が揃って卒業しただけに、早くから先発を任せられる可能性も高い。


“高校No.1捕手”有馬諒は関西大へ


 野手で最注目の選手は、高校No.1捕手とも言われていた有馬諒(近江高→関西大/関西学生野球)だ。

 1年秋から不動の正捕手となり、甲子園にも2年春・夏、3年夏と合計3回出場。2年夏には2回戦の前橋育英戦でサヨナラタイムリーを放つなど、チームの準々決勝進出に大きく貢献。3年夏には初戦で東海大相模に敗れたものの、チーム唯一の得点を叩き出すなど攻守に存在感を見せた。

 イニング間のセカンド送球はコンスタントに1.8秒台をマークし、コントロールも安定している。打撃も年々パワーアップしており、中軸を打つのに相応しい力強さが出てきた。チームには久保田拓真(3年・津田学園高)という強肩強打の捕手がレギュラーとして活躍しているが、1年目からハイレベルなレギュラー争いに期待したい。


日本代表の主将と甲子園優勝メンバーが同じリーグに


 有馬以外の野手では、高校日本代表で主将を務めた坂下翔馬(内野手・智弁学園高→近畿大/関西学生野球)、昨年夏の甲子園優勝の立役者の一人である桃谷惟吹(外野手・履正社高→立命館大)も同じ関西学生リーグに進む。

 坂下は164センチと小柄ながら、全身を生かしたフルスイングが光る強打者。昨年夏の奈良大会では大会新記録となる5本塁打をマークした。

 U-18・W杯では不振に苦しんだだけに、大学ではその悔しさを晴らしてもらいたい。


 一方、桃谷は強力打線のトップバッターとして活躍。準決勝までの5試合すべてで第1打席にヒットを放ち、そのうち4本が長打とチームを勢いづけた。

 思い切りの良いフルスイングで、広角に鋭い打球を放つバッティング持ち味。センターの守備範囲の広さ、肩の強さも申し分ない。入学前のオープン戦から起用されており、大学でも切り込み隊長として期待がかかる。


 関西以外の大学では、全国でも屈指のショートと言われた近藤大樹(西日本短大付高→九州共立大/福岡六大学)が地元福岡の九州共立大に進んだ。

 上背はないものの、抜群のフットワークと球際に強い守備は高校生離れしたものがある。3年春に出場した九州大会では攻守にわたる活躍を見せて、チームの優勝に大きく貢献した。同じリーグ内のライバルである九州産業大には、大学球界きっての守備力を誇るショートの児玉亮涼(4年・文徳高)がいるだけに、そのプレーに刺激を受けて、さらなるレベルアップを目指してもらいたい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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