“二刀流”の完全復活は…
今季メジャー3年目を迎えた大谷翔平。二刀流として完全復活を目論んだが、投打ともに振るわず、不本意なシーズンとなってしまった。
大谷が投手として復帰したのは7月26日。実に693日ぶりという久々のマウンドに登った。しかし、復帰登板で投じたのは僅か30球。6人の打者に対して3安打・3四球の5失点。アウトどころか、空振りを一つも奪えず、マウンドを降りた。
この時点で防御率は“無限大”。リベンジを誓った2度目の登板では、初回を三者凡退で抑えたまでは良かったが、2回に5四球を与え、イニング途中でノックアウト。結果的に、これがシーズン最後の登板となった。
2年ぶりに投手として復活した大谷のシーズン成績は、2試合の登板で0勝1敗、防御率37.80。2度目の登板後に受けたMRI検査の結果、前腕屈筋回内筋を損傷していることが分かり、結局その後は打者に専念する形となった。
走のスピードは今季も健在
問題は、打者としても大スランプに陥ったことだ。今季の打者としての成績を先に紹介しておくと、44試合に出場して打率は.190、7本塁打で24打点。パワフルな打撃もところどころで見せたが、好調は持続しなかった。
40試合に先発出場するも、猛打賞(3安打)はゼロ。一方で、2三振以上を喫した試合は12を数えた。チャンスでもサッパリで、得点圏打率は.143(42打数6安打)と凡打を重ねた。
打撃はさえなかったが、変わらなかったのは走塁だ。バッターボックスから一塁への平均到達時間はメジャー2位の4.04秒を記録。スプリントスピード(1秒間の平均走行距離)は、メジャー32位の28.8フィート(8.8メートル)だったが、一塁ベースに近い左打者という優位性と常に全力疾走の姿勢がメジャー2位という数字につながった。
3年目の大谷に対して、褒めるところは走塁だけだったのが正直なところだろう。ただし、来季以降もチームにとっては必要な選手になるはずだ。野手としては、守備に就く機会もあるかもしれない。そして何より、大谷が打てば、ベンチの雰囲気は良くなり、チームにも勢いがつく。
今季の大谷は、チームが勝利した試合では、打率.288で4本塁打・13打点という好成績を残した。一方、敗れた試合では打率.139、3本塁打・11打点。大谷が打てば、チームは波に乗る何よりの証拠だろう。
エンゼルスにとって大谷の復活は必要不可欠。現時点で二刀流に強いのこだわりを持つ大谷だが、来季はまず、打者として1~2年目の水準に数字を戻したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)
大谷翔平
ポジション:投手投打:右投左打
生年月日:1994年7月5日(26歳)
身長・体重:193センチ・95キロ
出身地:岩手県
<今季成績(投)>
登 板:2試合
投球回:1.2回
防御率:37.80
勝 敗:0勝1敗
奪三振数: 3個
奪三振率:16.20
与四死球:8個
<今季成績(打)>
出 場:44試合
打 率:.190(153-29)
出塁率:.291
長打率:.366
OPS:.657
本塁打:7本
打 点:24点
得 点:23点
盗 塁:7個