コラム 2020.12.31. 12:09

来季はこれをなくして頂点へ!虎党を嘆かせた“トンデモプレー”を振り返る

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失策の記録も… (C) Kyodo News

“異例のシーズン”に起こった珍事【阪神 編】


 新型コロナウイルスの感染拡大により、ペナントレースの開催も危ぶまれた2020年のプロ野球…。

 開幕は予定よりも3カ月遅れ、当初は「無観客」の状態からのスタート。「交流戦」や「オールスター戦」も中止となり、セントラル・リーグでは「クライマックスシリーズ」も中止に。シーズン途中にコロナの感染者が出たチームもあったが、どうにか120試合の日程を全チームが消化することができた。


 まさに“異例のシーズン”となった今年の戦いだが、いまになって振り返ってみると、本当にさまざまな出来事があった。そこで今回は、「プロ野球B級ニュース」でお馴染みの久保田龍雄氏に、2020年の野球界で起こった“珍事件”を掘り起こしてもらった。

 第5回目となる今回は、セ・リーグ2位の阪神に注目。最終的には巨人に次ぐ順位で終えたものの、開幕時は大きく出遅れるなど、優勝争いに絡むことができずにシーズンを終えている。

 それでも、今オフも積極的な補強に加え、守護神のロベルト・スアレスも残留が決定と、来季に向けた希望は大きい。ストップ巨人の最右翼として期待がかかる中、なくさなければならないのが時折出る「大きなポカ」だろう。

 ということで、今回は「虎党を嘆かせた凡プレー」を振り返っておきたい。


12球団ワーストの“守乱”


 巨人の独走を許してしまった最大の要因といえば、12球団ダントツの85失策を記録した“守乱”に尽きるだろう。それを最も象徴していた試合が、10月23日の巨人戦だった。

 2回、丸佳浩の中越えソロで1点を先制され、なおも一死二塁で、西勇輝は田中俊太を一ゴロに打ち取ったかに見えた。

 ところが、一塁を守っていたマルテが体に当て、大きく弾いてしまう。ボールを拾い上げたマルテは、後ろがまったく見えていないにもかかわらず、無謀にも背面から一塁送球。ベースカバーに入った西の横を大きくそれる悪送球となり、ダブルエラーで二塁走者・若林晃弘の生還を許した。

 さらに、大城卓三の右前安打で再び一・三塁。今村信貴が一塁前にセーフティスクイズをすると、マルテはまたもやファンブルし、3点目を献上。これには解説の佐々木主浩氏も、「今のも全然余裕でアウトです。これはちょっと酷いですね」と呆れるほどだった。

 一塁手の1イニング3失策は、1962年のブルーム、1974年のジョーンズ(いずれも近鉄)と並ぶプロ野球ワーストタイ、セ・リーグでは初の珍事だった。

 だが、話はこれだけで終わらない。マルテは5回無死三塁でも、松原聖弥のボテボテの一ゴロをファンブルして、1試合4失策のワースト新記録。

 梅野隆太郎の二塁悪送球も含め、計5失策が祟っての1点差負け(4-5)に、矢野耀大監督も「それにしても足を引っ張り過ぎだわな。(失点は)ホームラン以外、全部(エラー絡み)でしょ。それじゃ、勝てるわけないよね」とボヤキが止まらなかった。


阪神ファン「何しとるねん!」


 守備だけではなく、走塁でもまさかの珍プレーが見られたのが、10月15日の中日戦だった。

 0-1の2回一死。ボーアがチーム初安打となる中堅フェンス直撃の二塁打で反撃の狼煙を上げる。次打者・原口文仁も三遊間を破り、一気に一・三塁とチャンスを広げたかに思われた。

 ところが、二塁走者のボーアは数歩で歩みを止めると、後ずさりしながら二塁に戻っていくではないか。進塁方向への打球ではあったが、三塁手の高橋周平が横っ飛びで捕球に行っていたので、十分三塁までは進めるはずだった。コロナ対策で球場内は大声禁止にもかかわらず、左翼席の阪神ファンから思わず「何しとるねん!」の怒声が飛んだ。

 一死一・二塁から井上広大は三ゴロ、小幡竜平も中飛に倒れ、この回は結局無得点。ボーアが三進していれば、井上のゴロの間に同点になった可能性もあっただけに、“迷走”が悔やまれた。

 しかも、8回に3-2と逆転した阪神だったが、勝利目前の9回二死から守護神・スアレスが高橋に逆転サヨナラ3ランを浴びるという悪夢の幕切れ。走塁ミスのツケが最後の最後で回ってきた格好だ。

 10月30日、巨人の球団史上初の引き分けによるV決定という珍事にしても、阪神が同日行われたDeNA戦で、3-1と勝利目前の9回二死からスアレスが同点2ランを浴び、引き分けに終わった結果だった。詰めの甘さの克服も、来季の課題のひとつである。


「矢野采配」に疑問の声も…


 虎党が奇跡の逆転Vに一縷の望みを託したのが、9月4日からの巨人4連戦だった。4連勝すれば、巨人とのゲーム差は3.5まで縮まり、V争いも白熱するはずだった。

 9月4日の初戦は、大山悠輔やサンズの本塁打などで5対4と逃げ切り。「まだセ・リーグの灯は消さない」の意地を見せた。だが、翌5日は、先発・藤浪晋太郎が大誤算。2回に2点、3回に押し出し四球と3連続タイムリーで5点を失い、試合を壊してしまう。

 ところが、矢野監督はその裏、藤浪に打順が回ってきても、代打を送らず、そのまま打たせた。13連戦という過密日程の中で、早い回にリリーフを投入できない事情があったにせよ、絶対負けられない一戦で、序盤に試合を投げてしまうような采配には、疑問の声も少なくなかった。

 案の定、続投の藤浪は5回にも4点を献上し、計11失点の大炎上。その後はクリーンアップなどの主力が相次いでベンチに下がり、完全に“棄てゲーム”の様相となった。

 皮肉にも、3日後のDeNA戦では6回表まで7-0とリードしながら、その裏に7失点して結局引き分け。巨人戦も3回の時点で7点差なら、まだわからなかったし、藤浪に代打を送らなかったことが、「今日は負け」とチームをあきらめムードにさせた感は否めない。


 過去に優勝したチームはシーズン中、必ずと言っていいほど、99%負けを覚悟した大劣勢をひっくり返す“奇跡”を演じている。阪神がさらに上を目指すためには、最後まであきらめない姿勢も必要不可欠となる。

 自己最多の28本塁打を記録し、主砲として開眼した大山。シーズン終盤にセットアッパーとして160キロを連発した藤浪。ドラフトでも4球団競合の大砲候補・佐藤輝明を獲得するなど、明るい材料は多いだけに、来季は矢野体制3年目の逆襲に注目したい。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)

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