直近4本塁打すべてが3ラン
6月25日からのヤクルト-巨人3連戦は、阪神を追うセ・リーグ上位のチーム同士の直接対決ということで注目を集めたが、結果は巨人が「3タテ」の完勝。阪神とのゲーム差を2.5に縮め、首位奪取を射程圏内にとらえた。
その立役者のひとりが巨人の4番・岡本和真だ。この3連戦では2本の3ラン本塁打を放つなど7打点を挙げた。対して、ヤクルトの4番・村上宗隆はノーアーチに終わり、とくに第2戦では終盤の2死満塁、1死二、三塁などチャンスの場面で1本が出なかったこともあり、岡本の勝負強さが光った。
そして、この3連戦における2本の3ラン本塁打により、岡本は「連続3ラン」というレアな記録を継続中だ。岡本が放った本塁打は、直近の4本すべてが3ラン本塁打である。もちろんその分、打点を荒稼ぎしており、現在の66打点は2位・村上の51打点を大きく引き離すダントツの数字だ。阪神に対する巨人の追い上げに大きく貢献している。
これで岡本の今季の3ラン本塁打は6本目。例年、シーズン全体の本塁打のうち、3ラン本塁打が占める割合は10%前後である。それを思えば、約29%(21本塁打のうちの6本)という岡本の3ラン本塁打の割合は、やはりかなり高いといえる。
数字に表れる勝負強さ
実際、チャンスにおける岡本の勝負強さは数字にも表れている。今季は開幕直後になかなか調子が上がらず、現在も打率は.256と本来の力からすれば物足りないものだ。しかし、得点圏打率.293はリーグ9位であり、まずまずの数字である。とくにふたりの走者を置いた場面では、打率.400(45打数18安打)6本塁打36打点と無類の強さを誇り、3ラン本塁打が多いのもうなずける。
しかし、「3ラン」といえば多くの野球ファンが思い浮かべる選手がいる。落合博満監督のもと、2000年代半ばから2010年代序盤にかけて中日の4度のリーグ優勝を支えた森野将彦だ。3ラン本塁打が多かったことから「ミスター3ラン」の名で親しまれたのが森野である。
とくに2007年はその傾向が顕著であり、森野が記録したシーズン18本塁打のうちじつに8本(約44%)が3ラン本塁打であった。また、同年までの通算55本塁打中でも19本が3ラン本塁打(約35%)という驚異的な数字を残している。
ただ、さすがに森野の「3ラン率」にはかなわないまでも、岡本の「4本塁打連続3ラン本塁打」というインパクトもなかなかのもの。逆転Vに向かって巨人がどんな追撃を見せるのか。巨人に生まれた「新ミスター3ラン」のバットから目が離せない。
※数字は6月27日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)