日本選手3人目の快挙なるか
レッドソックスの吉田正尚は6日(日本時間7日)、敵地で行われたガーディアンズとの一戦に先発出場。初回から安打を放つと、5回の第3打席目まで3安打の固め打ち。結局この日は5打数3安打で、今季の打率を.319とした。
4月中旬には打率1割台に低迷していた吉田だが、その後はメジャーの投手を相手に見事なまでに順応してみせた。4月20日以降は.365というハイアベレージをマークしている。
ア・リーグの打率ランキングでも2位と好位置をキープ。NPB時代の実績も踏まえれば、首位打者争いも期待できそうだ。
ただし、チームはまだシーズン61試合を消化したところ。メジャーではルーキーの吉田にとっても、まさにこれからが試練と言える。このまま打率3割を維持するのも、決して楽ではないはずだ。
過去の日本人打者を振り返ってみても、“打率3割”の難しさはよく分かる。2022年シーズンまでの段階でメジャーで規定打席に到達したことがある日本人打者は計9人いるが、そのうちシーズン打率が3割に達したのは2人しかいない。
1人目は、もちろん日米通算4367安打を放ったイチロー氏。マリナーズ移籍1年目の01年にいきなり.350の高打率で首位打者にも輝いた。その後は10年まで10年連続で打率3割を達成。11年以降は3度の規定打席到達はあったが、3割には届かなかった。
そしてもう一人の3割打者は、NPB時代から常にイチロー氏と比較されてきた松井秀喜氏だ。こちらはメジャー3年目の05年に.305をマーク。翌06年にも.302を記録しているが、この年はケガのため51試合の出場にとどまっている。結局、規定打席に到達した年の打率3割は1度だけだった。
▼ 日本人打者の打率3割達成率
(規定打席到達シーズンのみを対象)
イチロー :76.9%(10/13)
松井 秀喜:14.3%(1/7)
井口 資仁:0.0%(0/3)
福留 孝介:0.0%(0/3)
青木 宣親:0.0%(0/3)
松井稼頭央:0.0%(0/2)
城島 健司:0.0%(0/2)
岩村 明憲:0.0%(0/2)
大谷 翔平:0.0%(0/2)
イチロー氏の全盛期を知るファンは、メジャーでの打率3割にそれほど特別感はなかったはずだ。それはイチロー氏がいとも簡単に達成していたから他ならない。
しかし、NPB時代に首位打者に複数回輝いた青木宣親や福留孝介氏ですら、メジャーでは一度も3割を達成できなかったように、シーズンを通して3割を維持することは簡単なことではない。
ちなみに、今もヤクルトで活躍する青木はブルワーズ時代の12年に7月上旬まで打率3割をキープしていたが、最終的には.288でシーズン終了。福留氏はカブス時代の08年に6月下旬まで3割台を維持していたが、.257で1年目を終えている。
果たして、吉田はイチロー氏、松井秀氏に次ぐ日本人3人目の打率3割を達成できるのか。チームはまだ101試合を残している。
文=八木遊(やぎ・ゆう)