甲子園の新スター誕生の予感漂う第96回選抜高校野球大会(13日間、甲子園)が18日に開幕した。
投手では報徳学園(兵庫)の最速151キロ右腕・今朝丸裕喜や八戸学院光星(青森)のエース左腕・洗平比呂、野手では豊川(愛知)の強打の外野手、モイセエフ・ニキータ(いずれも3年)ら今秋ドラフト候補に挙がる選手が大会開幕前から注目を集めている。
その傍らで今春選抜は新2年生からも目が離せない。
振り返れば、昨年のドラフト会議で高校生投手唯一の1位指名を受けた大阪桐蔭の前田悠伍(ソフトバンク)は、2年春の選抜で決勝を含む2試合に先発し、計13回1失点(自責0)と下級生とは思えない働きぶりで優勝に貢献した。
逸材は2年春の選抜から一際まぶしく光るものなのだろう。そこで今回は、今春選抜に出場する選手の中から今から注目しておくべき2年生の好選手を紹介したい。
■ 大阪桐蔭(大阪)・森陽樹/投手/189センチ・83キロ/右投げ右打ち
大会本番前から期待値が上がり続けている剛腕が2年生にいる。大阪桐蔭で背番号14を背負う最速151キロ右腕の森陽樹だ。
189センチの長身から150キロ超の直球を投げ下ろす本格派右腕で、またも大阪桐蔭に怪物が現れたと話題を集めている。
宮崎出身で中学までは軟式野球部に所属していた。
大阪桐蔭の部員43人の中で中学時代に軟式野球部だったのは森の1人しかいない。球速が出づらいとされる軟式球で最速142キロを計測しており、硬式転向後も順調に成長して昨年10月に151キロを計測した。
「(軟式球は)球が軽いので、硬式の方が投げやすいです。大阪桐蔭は小学生の頃から見ていた憧れの学校。その高校から声がかかったので迷わず行こうと決めました」
昨秋の大阪大会で初めてベンチ入りすると、近畿大会の決勝戦では公式戦初先発を託されて7回を3安打9奪三振、無失点の快投を披露した。
カットボール、カーブ、スプリットの変化球も器用に操り、制球も安定している。剛球を操るだけでなく、総合力の高い本格派右腕なのだから末恐ろしい。
中学時代には全国大会に出場経験がある。ただし、昨秋の明治神宮大会では登板機会がなく、今春選抜が高校での全国大会デビュー戦となる。
「見ている人を圧倒し、誰もが驚くような投球をしたいです」
早くも25年ドラフト指名間違いなしとの声が聞こえてくる怪物候補。今春選抜で全国の高校野球ファンの度肝を抜くことになりそうだ。
■ 日本航空石川(石川)・猶明光絆/投手/184センチ・78キロ/左投げ左打ち
能登半島地震で被災した石川を勇気づけようと意気込む日本航空石川にも楽しみな投手がいる。
184センチから最速141キロの直球を投げ下ろす猶明光絆(ゆうめい・こうき)だ。
長身ながら自身の身体を器用に操り、身体の柔らかさを感じさせる投球フォームが美しい。
自己最速は141キロながら、球速以上の切れを感じさせるのが特徴だ。加えて身体がまだ発展途上とあって、土台が鍛えられれば、球速がさらに伸びていく姿が容易に想像できる。
さらに「制球は持ち味の一つです」と明かすように、制球を崩して乱れるようなタイプではないのも頼もしい。
今春の練習試合では視察していたNPBのスカウトが「あの2年生は良いですね」と思わずつぶやくほどに素材の良さがキラリと光る。
「小さい頃からプロ野球を目標にやってきた。そのまま夢が目標になりました」と見据えるように来秋のドラフト指名を目標としている。
身長もまだ伸び続けており、伸びしろは無限大。そのポテンシャルの高さを今春選抜で全国に知らしめることになるかもしれない。
■ 報徳学園(兵庫)・橋本友樹/遊撃手/169センチ・65キロ/右投げ左打ち
報徳学園の新2年生に同校OBの小園海斗(現広島)と比べたくなるような好選手がいる。
橋本友樹は堅守を持ち味とする遊撃手で、かつて小園が背負った背番号6を1年秋から担っている。
前年の同校は、昨春選抜で準優勝するなど好選手がズラリとそろっていた中で1年夏からベンチ入りしており、新チームから正遊撃手に定着した。
自らの特徴を「守備とつなぐ打撃に自信があります」と分析するように、守備で魅了することができるタイプの遊撃手だ。
高校時代の小園は、肩の強さも見せつけるかのように誰よりも深い守備位置を守り、軽快にグラウンドを動き回っていた。堅実性と俊敏性を兼ね備えている橋本も、小園のように守備で注目を集めることができる素材と言えるだろう。
ただし、決して「守備の人」と言うわけではない。1年夏の兵庫大会から代打で起用されるなど高い打力も兼ね備えている。
打撃はミート力の高い巧打者だ。昨秋は主に7番に入ったものの、上位を担えるポテンシャルも兼ね備えている。
小園は2年春の選抜で「1番・遊撃」として本塁打を含む打率.500(18打数9安打)と躍動して4強進出に貢献した。橋本も憧れの小園のように、選抜で一躍注目の存在になり得る非凡な潜在能力を秘めている。
文=河合洋介(スポーツニッポン・アマチュア野球担当)
投手では報徳学園(兵庫)の最速151キロ右腕・今朝丸裕喜や八戸学院光星(青森)のエース左腕・洗平比呂、野手では豊川(愛知)の強打の外野手、モイセエフ・ニキータ(いずれも3年)ら今秋ドラフト候補に挙がる選手が大会開幕前から注目を集めている。
その傍らで今春選抜は新2年生からも目が離せない。
振り返れば、昨年のドラフト会議で高校生投手唯一の1位指名を受けた大阪桐蔭の前田悠伍(ソフトバンク)は、2年春の選抜で決勝を含む2試合に先発し、計13回1失点(自責0)と下級生とは思えない働きぶりで優勝に貢献した。
逸材は2年春の選抜から一際まぶしく光るものなのだろう。そこで今回は、今春選抜に出場する選手の中から今から注目しておくべき2年生の好選手を紹介したい。
■ 大阪桐蔭(大阪)・森陽樹/投手/189センチ・83キロ/右投げ右打ち
大会本番前から期待値が上がり続けている剛腕が2年生にいる。大阪桐蔭で背番号14を背負う最速151キロ右腕の森陽樹だ。
189センチの長身から150キロ超の直球を投げ下ろす本格派右腕で、またも大阪桐蔭に怪物が現れたと話題を集めている。
宮崎出身で中学までは軟式野球部に所属していた。
大阪桐蔭の部員43人の中で中学時代に軟式野球部だったのは森の1人しかいない。球速が出づらいとされる軟式球で最速142キロを計測しており、硬式転向後も順調に成長して昨年10月に151キロを計測した。
「(軟式球は)球が軽いので、硬式の方が投げやすいです。大阪桐蔭は小学生の頃から見ていた憧れの学校。その高校から声がかかったので迷わず行こうと決めました」
昨秋の大阪大会で初めてベンチ入りすると、近畿大会の決勝戦では公式戦初先発を託されて7回を3安打9奪三振、無失点の快投を披露した。
カットボール、カーブ、スプリットの変化球も器用に操り、制球も安定している。剛球を操るだけでなく、総合力の高い本格派右腕なのだから末恐ろしい。
中学時代には全国大会に出場経験がある。ただし、昨秋の明治神宮大会では登板機会がなく、今春選抜が高校での全国大会デビュー戦となる。
「見ている人を圧倒し、誰もが驚くような投球をしたいです」
早くも25年ドラフト指名間違いなしとの声が聞こえてくる怪物候補。今春選抜で全国の高校野球ファンの度肝を抜くことになりそうだ。
■ 日本航空石川(石川)・猶明光絆/投手/184センチ・78キロ/左投げ左打ち
能登半島地震で被災した石川を勇気づけようと意気込む日本航空石川にも楽しみな投手がいる。
184センチから最速141キロの直球を投げ下ろす猶明光絆(ゆうめい・こうき)だ。
長身ながら自身の身体を器用に操り、身体の柔らかさを感じさせる投球フォームが美しい。
自己最速は141キロながら、球速以上の切れを感じさせるのが特徴だ。加えて身体がまだ発展途上とあって、土台が鍛えられれば、球速がさらに伸びていく姿が容易に想像できる。
さらに「制球は持ち味の一つです」と明かすように、制球を崩して乱れるようなタイプではないのも頼もしい。
今春の練習試合では視察していたNPBのスカウトが「あの2年生は良いですね」と思わずつぶやくほどに素材の良さがキラリと光る。
「小さい頃からプロ野球を目標にやってきた。そのまま夢が目標になりました」と見据えるように来秋のドラフト指名を目標としている。
身長もまだ伸び続けており、伸びしろは無限大。そのポテンシャルの高さを今春選抜で全国に知らしめることになるかもしれない。
■ 報徳学園(兵庫)・橋本友樹/遊撃手/169センチ・65キロ/右投げ左打ち
報徳学園の新2年生に同校OBの小園海斗(現広島)と比べたくなるような好選手がいる。
橋本友樹は堅守を持ち味とする遊撃手で、かつて小園が背負った背番号6を1年秋から担っている。
前年の同校は、昨春選抜で準優勝するなど好選手がズラリとそろっていた中で1年夏からベンチ入りしており、新チームから正遊撃手に定着した。
自らの特徴を「守備とつなぐ打撃に自信があります」と分析するように、守備で魅了することができるタイプの遊撃手だ。
高校時代の小園は、肩の強さも見せつけるかのように誰よりも深い守備位置を守り、軽快にグラウンドを動き回っていた。堅実性と俊敏性を兼ね備えている橋本も、小園のように守備で注目を集めることができる素材と言えるだろう。
ただし、決して「守備の人」と言うわけではない。1年夏の兵庫大会から代打で起用されるなど高い打力も兼ね備えている。
打撃はミート力の高い巧打者だ。昨秋は主に7番に入ったものの、上位を担えるポテンシャルも兼ね備えている。
小園は2年春の選抜で「1番・遊撃」として本塁打を含む打率.500(18打数9安打)と躍動して4強進出に貢献した。橋本も憧れの小園のように、選抜で一躍注目の存在になり得る非凡な潜在能力を秘めている。
文=河合洋介(スポーツニッポン・アマチュア野球担当)