前半戦は大谷翔平がチームMVP 後半戦は本当の主役が黙っていない!
リーグ3位の日本ハムは、83試合を終了して42勝40敗1引き分けで後半戦を迎えた(7月20日現在)。その後半戦、いきなり首位オリックスとの3連戦となるが、ロッテや西武あたりが沈んでいる間に勝ち星を拾ってAクラス入りへの地盤をしっかりと固めていきたいところ。
前半戦、日本ハムの話題といえば、二刀流の大谷翔平一色だった。投げては9勝1敗、打っては打率.282で5本塁打だから、高卒2年目の選手が前半戦のチームMVPだったと言って異論はないだろう。160キロを超える快速球だけでなく、“チームを勝たせる選手”として、大谷の存在感は際立っていたからだ。
その大谷に主役の座を持っていかれたのは、7年目を迎えたアーチスト・中田翔。前半戦の成績は、打率.273、15本塁打、56打点。4番打者としては及第点と言っていい数字かもしれない。でも、これくらいでは誰もが納得しない器だし、それこそ本人が一番歯がゆい思いをしているはずだ。
スイングも性格も豪快な男が勝ちに直結するアーチを量産する
2013年のオフ、中田がとあるイベントで語ったコメントが印象に残った。「田中さん(将大:現ニューヨーク・ヤンキース)のように“チームを勝たせる選手”になりたい」。2013年は初の3割を達成、ケガによる戦線離脱で本塁打こそ28本に終わったが、大きく飛躍したシーズンだった。だが、その数字はあくまでも自分自身の数字であってチームは最下位に沈んだ。一方で、田中がシーズン負けなしの24連勝を飾り、日本一に輝いた姿を見て(もちろんシーズンで対戦し)感じた、正直なコメントだったと思う。
その中田、今年は球界を代表する4番打者になるためにも、本塁打のタイトルがほしいところ。そして、その1本1本の本塁打が、チームの勝ちに直結するようならば、大谷とともにチームを上昇気流に乗せるだろう。
キングを独走するペーニャまで6本差は十分に射程圏内。30本台後半まで数字を伸ばせれば、タイトルが見えてくる。
中田に関してのエピソードで忘れられないことがある。中田が入団した1年目、彼に幾度も取材をする機会を得た。ファームの本拠地である千葉・鎌ヶ谷で、中田の圧倒的なスイングスピードと飛距離に度肝を抜かされたものだ。驚いたのはそれだけではない。インタビューした際、当時、関わっていた雑誌の読者プレゼント用としてボールにサインをお願いした時のこと。「ボールもサインしますけど、バットにもサインしますよ」と、自らのバットにサインをし、こちらに差し出したのである。
まさに大物中の大物。そんな“太っ腹な高卒選手”に出会ったのは、それが最初で最後である。ちょうどその雑誌が創刊した年だったのだが、「じゃあ、1年目で同じじゃないっすか。頑張りましょう!」と、愛嬌ある笑顔で話していた中田がいた。
統一球の使用期間も重なり、ここまでくるのに時間を要した感も否めない。でもしかし、バッティングも性格もどこまでも豪快な男であることは、既にこの6年半で証明済みだろう。
目下、チーム内のライバルである大谷は、後半戦も大躍進を続けそうだが、中田がそれを上回る活躍をしてくれるものと信じて打席を見守りたい。今以上に“チームを勝たせる選手”になるべく、必ずや結果を残してくれるはずだ。
文=岩川悟(いわかわ・さとる)