昨季と比べ、防御率が2点以上良くなった村田
アメリカ・マイナーリーグの3A、インターナショナル・リーグは7日、レギュラーシーズンの全日程を終了した。クリーブランド・インディアンス傘下のコロンバス・クリッパーズに所属する村田透が15勝を挙げ、最多勝のタイトルを獲得した。
村田は今季、3Aで27試合に登板し164回1/3を投げ、15勝4敗、防御率2.90。6月28日にはメジャー初昇格を果たし、オリオールズ戦で初登板初先発を果たした。
3Aでプレーした日本人投手ではこれまで、井川慶(オリックス)が2008年にニューヨーク・ヤンキース傘下スクラクトンで14勝を挙げリーグ2位タイになったのが最高だった。村田は3A日本人投手初のタイトル獲得となる。
村田は昨季、2Aと3Aで計27試合に登板し10勝7敗、防御率5.04。今季は、防御率が2点以上良くなったわけだが、その理由はどんなところにあるのだろうか。
昨季の村田は1916球投げてストライクは1230球。投球に占めるストライクの割合は64.20%。今季は2256球投げて、ストライクは1445球。ストライクの割合は64.05%と昨年よりほんのわずか下がっているが、大きな差はない。
ゴロアウトの増加が今季の成長の証
次に奪三振率と与四球率を見てみよう。
昨季、村田の奪三振率5.61。今季の奪三振率は5.53でこちらも大きな差はない。与四球率は、昨季が2.70で今季は2.46。与四球を減らしているが、防御率が2点近く良くなるほどの減り方ではないと見ることができる。
ストライク率、奪三振率、与四球率ではなく、防御率が良くなった大きな理由はゴロアウトの増加にありそうだ。昨季、村田のゴロアウトとフライアウトの割合GO/AO(※)は0.77だったが、今季は0.97とゴロアウトの割合が大きく増えた。
一般的に考えれば、ゴロの打球が長打になるのは一塁線や三塁線を抜かれたときだけで、フライの打球に比べて長打の割合が小さくなる。マイナーとはいえ、パワーヒッターがずらりと並ぶアメリカでは、いかにゴロを打たせるかが成功へのひとつのカギだ。
昨季、村田は126回2/3で20本の本塁打を打たれたが、今季は164回1/3で16本と減っている。このことからも、村田がいかにゴロを打たせたか分かる。
マイナーとはいえ、タイトルの獲得が大きな自信となったことは間違いない。メジャーでは1試合の登板だったが、来季こそはメジャーで勝利を挙げてほしい。そのためにもゴロを打たせる投球術をさらに磨いていく必要があるだろう。
(※)ゴロアウト/フライアウト比率(GO/AO )
セイバーメトリクスの指標のひとつで、ゴロアウト(GO)の総数をフライアウト(AO)の総数で割り、ゴロアウトとフライアウトの比率を調べる指標。同じ数の場合は1となり、これより数値が大きくなるほどゴロアウトの割合が高く、数値が小さくなって0に近付くほどフライアウトの割合が高い投手となる。
文=京都純典(みやこ・すみのり)