クルーズと今江の退団で内野2ポジションが空席に
11月27日、クルーズ(ロッテ)の退団が決まった。今後は、国内他球団を優先しながら移籍先を探すという。また、FA権を行使していた今江敏晃の楽天入りも同日に正式発表され、ロッテの内野レギュラーポジションに一挙にふたつの空席ができることとなった。
高い守備力を誇り、かつ打撃では今季のチーム打点王であるクルーズに、今季29試合で4番を務め、長年チームを支えてきた今江。ふたりの穴はあまりに大きい。来季のロッテには、その穴を埋め、さらに上積みするような若手の台頭が求められる。
ただ、見方を変えれば、若手内野手にとっては願ってもいないチャンスだ。今や侍ジャパンに名を連ね、巨人の主将を務める坂本勇人は、プロ入り2年目の2008年、開幕戦で二岡智宏(来季より巨人二軍打撃コーチ)が負傷したことにより、10代で遊撃手のレギュラーを掴んだ。
今まで出番に恵まれなかった選手はもちろん、ルーキーにとっても入団早々に到来したチャンス。今年のドラフト1位・平沢大河(仙台育英)も入団交渉後の会見で「開幕一軍を目指したい」と意気込みを語った。
投手と比較して野手には高い壁が立ちはだかる
ここで、過去、高卒1年目の活躍が目立った野手の成績を振り返ってみる。
清原和博(西武/1986年)
126試 率.304 本31 点78 盗6
立浪和義(中日/1988年)
110試 率.223 本4 点18 盗22
前田智徳(広島/1990年)
56試 率.256 本0 点5 盗4
イチロー(オリックス/1992年)
40試 率.253 本0 点5 盗3
松井秀喜(巨人/1993年)
57試 率.223 本11 点27 盗1
清原の数字が図抜けてはいるが、高卒1年目で一軍に定着し、それなりに活躍できる選手は、のちに超一流となる選手ばかり。また、近年、結果を残した主な高卒野手の成績も併せて振り返ってみたい。
大谷翔平(日本ハム/2013年)
77試 率.238 本3 点20 盗4
森友哉(西武/2014年)
41試 率.275 本6 点15 盗0
浅間大基(日本ハム/2015年)
46試 率.285 本0 点10 盗4
もちろん、高卒ルーキーが簡単に活躍できるほどプロの世界は甘くない。特に、1年目で2桁勝利を挙げることも珍しくない投手と違い、野手にはプロの高い壁が立ちはだかる。甲子園を沸かせた注目のスラッガーであっても、1年目は鳴かず飛ばずの成績に終わることがほとんどだ。
さて、平沢が1年目から活躍し、将来の超一流選手となる確約を得ることができるか。ロッテの内野レギュラー争いに注目が集まる。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)