プロ野球の未来は明るいのか…
キャンプイン直後の球界を席巻した「清原和博容疑者逮捕」の衝撃から約2週間…。プロ野球各球団は粛々と開幕に向けて戦力の底上げ、選手の見極めを行っている。
2016年はプロ野球にとってどういう年になるのだろうか。そしてプロ野球の未来は明るいのだろうか。
今から約10年前、日本球界は出口の見えない暗闇にいた。オリックスと近鉄の合併構想に端を発したプロ野球“再編問題”。楽天球団の誕生で12球団を維持できたものの、この問題を機にプロ野球を離れたファンも少なくなかった。
しかし、プロ野球は新たなファン獲得に力を入れた結果、パ・リーグの球団を中心に観客動員数を増やし続けている。
【ホームゲームの1試合平均観客数】
(※左から球団、2005年の平均観客数、2015年の平均観客数、増減率)
広 14,171 / 29,722 / 110%
De 13,280 / 25,546 / 92%
ヤ 17,914 / 23,021 / 29%
巨 40,029 / 42,270 / 6%
神 42,907 / 39,977 / -7%
中 31,293 / 28,469 / -9%
楽 14,369 / 21,467 / 49%
西 16,078 / 22,456 / 40%
日 20,129 / 27,221 / 35%
オ 19,942 / 24,890 / 25%
ソ 30,935 / 35,221 / 14%
ロ 19,618 / 18,620 / -5%
“再編問題”直後の2005年に比べると、広島とDeNAが約2倍に激増。観客数を減らした阪神、中日、ロッテの各球団も微減に留めている。地上波からプロ野球中継が激減したものの、球場に足を運ぶファンの数自体は増えているのだ。
「16球団構想」を今一度本気で考える
2014年春に自民党が「16球団構想」を提言したことを覚えているだろうか。あれから約2年…。15日の衆院予算委員会にて、石破茂地方創生担当相がその構想に関して言及し、「政府として検討」することを明らかにした。
果たして、球団拡張は現実のものとなるのか…。「16球団構想」を今一度考えてみる。
第2次世界大戦後、プロ野球は吸収・合併など幾つかの変遷を経て、1950年代に現在の2リーグ12球団体制に落ち着いた。その後約60年にわたって一度もリーグ再編成は行われていない。
海の向こうメジャーリーグでは、1960年に16球団だったのが現在30球団とほぼ倍に増えている。さらにこれを32球団にしようとする動きすらあるのが現状だ。
1960年に約1.8億人だったアメリカの人口が、2010年には約3.1億人(約1.7倍)まで増えたことも大きい。一方の日本は同じ期間に9000万人から1.2億人(約1.3倍)と人口自体が増えておらず、さらに数年後には人口減少も本格化するといわれている。
それでも球団数を増やすべきなのか、という議論はいまだにところどころで聞かれる。
自民党が“拡張”を提言した大きな理由の一つが、「地方活性化」という側面だった。
かつては巨人、ヤクルト、横浜、中日、阪神、日本ハム、ロッテ、西武、阪急、近鉄、南海と実に11球団が三大都市圏に集中していた。その後、2球団が福岡と札幌に移転し、楽天が仙台に誕生した。そして、その3球団はいずれも人気球団にのし上がっている。
「地方衰退」というワードも今後の日本を脅かすとされているが、娯楽が豊富な都市圏よりも地方都市のほうが、球団が地域に根付く可能性が高いともいえるだろう。
人口的には約80万人を誇る新潟市、静岡県の浜松市といったところが、野球が盛んな場所という点では愛媛県の松山市(人口約50万人)、北陸新幹線開通に伴い利便性が高くなった石川県の金沢市(人口約45万人)など、候補は幾つか挙がっている。
まずは2020年代に14球団に、そして2030年に16球団に拡張し、プロ野球で日本全体を活性化させる。それを夢物語ではなく、現実にするための努力が求められている。
「現状の12球団でも多すぎる」という正反対の意見もあるだろう。「12球団が妥当」という意見が最も多いかもしれない。それでもプロ野球、さらには日本を活性化するためにも球団拡張の議論は続けていくべきだろう。