注目集めるドラフト下位指名選手
新戦力の活躍が気になる春のキャンプ。いわゆるドラ1選手や新助っ人に大きな注目が集まるが、今年は「青木(宣親/マリナーズ)の入団時よりも良い」と絶賛されているヤクルトのドラフト5位・山崎晃太朗をはじめ、下位指名の選手の猛アピールが目立っている。
上位指名選手たちに負けじと話題を振りまくルーキーたち。思い返せば昨年のドラフトの時には西武6位の“本田圭佑”が大きな話題になった。
サッカーの名門・ACミランで背番号10を背負い、日本代表でも活躍するMF本田とまったくの同姓同名。漢字表記も同じということで、ドラフト6位ながら大きく取り上げられた。
そのドラフトを振り返り「自分は下位指名だろうなと思ってました。4、5位ぐらいで緊張してきました」と話していた本田。東北学院大では仙台6大学リーグで通算17勝。西武のエース・岸孝之は大学の先輩にあたる。
今春のキャンプはニ軍スタートとなったが、1月の新人自主トレでは、持久力でトップにタ立つなどアピール。将来性は十分だ。
本田が注目され始めたのは、東北学院高2年の時。2010年だ。この年はちょうどサッカーの南アフリカW杯が行われた年で、日本代表の本田が大活躍。ベスト16進出の原動力となった。
時には物議をかもす発言や、突飛なファッションなどでも注目を集めていた本田。一躍時の人となった本田と同姓同名の選手ということで、メディアもその頃から注目していたのだ。
得意なボールはチェンジアップ。サッカーの本田が無回転シュートなら、こちらは無回転チェンジアップだ。球速は140キロ台とそれほど速くはないが、ボールのキレで勝負するタイプ。
「もともと実力で注目されたわけではないので、西武へ入団できたことはうれしい。やるだけですね」と、性格も清々しい。これからの“伸びしろ”には是非とも注目していきたい。
大化けで評価を覆す
広島のドラフト7位指名・青木陸も注目したい下位指名選手だ。
山形中央高時代には甲子園にも出場。チーム不動の4番打者として、高校通算46本塁打を記録した。
「目標にしている選手は、広島で大活躍した栗原選手(健太/楽天)です」と、同じ山形県出身の元広島のスラッガーを挙げる18歳。栗原といえば、広島で153本塁打をマークし、今季から楽天に移籍した。
「10年間で200本塁打を打ちたい」と早くも“栗原越え”を宣言するなど、なかなかのビックマウスだ。スカウト陣は「あのスイングスピードはプロでも通用する。日本ハムの中田翔みたいな選手になれるのではないか」と期待を込める。残念ながら、こちらもキャンプはニ軍スタートだが、一軍で活躍する日もそう遠くはないだろう。
ヤクルト4位指名の日隈ジュリアスにも、豊かな将来性を感じる。
高知中央高時代には甲子園出場経験こそないが、最速145キロの直球とスプリットやツーシームを武器としており、「どんな打者でも直球で抑えたい」と言い切る。
アメリカ人の父と日本人の母の間に生まれたハーフ。軍人だった父は、2001年9月に発生した同時多発テロの際に沖縄から飛び立ち、以来まったくの音信不通になったという。
「野球でプロになって、父親と連絡を取りたい」とは、泣かせる発言。そして、ようやく昨年の9月に連絡が取れたという。
プロへと進み、父親も見つかった…。これからの日隈のモチベーションとなるのは、プロで活躍することに変わった。今春のキャンプはニ軍スタートだが、184センチの長身からスリクォーターで投げ下ろす速球は威力十分で、サウスポーであることも魅力的。早く一軍での勇姿を見てみたい。
ドラフト下位指名選手が、大活躍することはよくある。たとえばあのイチローもドラフト4位入団であり、様々なプロ野球最年長記録を更新してきた“レジェンド”こと中日の山本昌はドラフト5位だった。
ドラフト時の評価を覆す選手が出てくるか…。ドラ1ら注目選手のアピールを続ける下位指名のルーキーにも注目だ。